決勝戦では強打の日大三をわずか6安打1失点に抑えるなど、沖縄尚学は圧倒的な投手力で優勝を果たした。同校OBで東都大学野球リーグで最優秀防御率のタイトルを獲得した経験がある當山渚投手(国学院大4年)は強さの背景に「比嘉(公也)監督の投手指導がある」と明かした。

 投手として同校で1999年のセンバツ優勝に貢献し、監督就任後は東浜巨(ソフトバンク)や岡留英貴(阪神)など好投手を育てた比嘉監督。當山は高校時代に「対角線にシュートせず投げられるように」、「変化球は『八の字』に使え」と指導されたという。「これができれば、投球の幅が広がる。ピッチャーはみんなチェンジアップとかを練習してます」。末吉良丞投手、新垣有絃投手(ともに2年)の両投手も打者の内角を攻める直球に末吉は右打者から逃げていくようなスプリット。新垣は左打者の外角に流れていくようなフォークを駆使して打者を手玉に取った。

 さらに、沖縄尚学には「30メートルと40メートルから60メートルまでの5メートル間隔にマーカーを置き、キャッチボールをする」という独自の練習法がある。「まず、どれくらい(の距離)まで良い質のボールが投げられるかを理解する。どこから球がシュートしたり、垂れるのかを把握することで、その日の調子の判断材料にする」。この練習法で球質の改善や正しい体の使い方を研究した。

 指揮官の指導を体現し、独自の練習法で全ての球種を磨いた2枚看板。多くのOBが待ちわびた深紅の大優勝旗を15年ぶりに沖縄にもたらした。

(高澤 孝介)

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