◆JERA セ・リーグ 広島4―1巨人(26日・マツダスタジアム)

 思わず、ベンチ前のラバーをグラブでたたいた。巨人・戸郷翔征投手(25)はベンチから悔しげにグラウンドを見つめた。

2死二塁を招いた7回。投手の床田に安打でつながれ、1番・中村奨に147キロを軽打されて痛恨の右前適時打。7回9安打3失点で自己ワーストタイの8敗目を喫した。マツダでは今季3戦2敗。「本当に今日は僕の責任」と視線を下げた。

 立ち上がりに悔いを残した。初回先頭から連打を浴び、適時二塁打と犠飛で2失点。「今日の試合はそこで負けたかなと。初回、探りながらになった。いい球を探す前に打たれてしまった」と、マウンドにアジャストする前に直球を狙い打たれた。2~4回はフォーク、スライダー、ツーシームなどを駆使して3者凡退と立て直し、今季初となる2戦連続ハイクオリティースタート(HQS=7回以上自責2以下)は目前。しかし球数90を超えた7回、粘りきることができなかった。

 マツダでは4月11日に自己最悪10失点KO、5月13日も2発を浴びて5回4失点。0勝だった春先から状態を上げて広島に戻ってきたが、またも鬼門として立ちはだかった。阿部監督は「何とか踏ん張ったんだけど」と言葉を絞り出した。

 その中で“ゾーン”に入って集中する戸郷らしさは出た。無死一、二塁を三振、遊ゴロ併殺でしのいだ6回。マウンドで相手のチャンステーマを無意識に何度も口ずさんだ。「しっかりリラックスしながら(投球)できたのかな。歌ってしまってました」。3年連続12勝を挙げた昨季までもピンチを脱する時に見られた姿だ。

 8回131球を投げ抜いて4勝目を挙げた19日のヤクルト戦(神宮)から中6日。「(試合前)ブルペンはすごく良かった。先頭を抑えるだとか、そういう単純なところを頑張らないと」。

反省だけが頭を埋め尽くした。(堀内 啓太)

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