◆JERA セ・リーグ 広島4―1巨人(26日・マツダスタジアム)

 巨人が敵地での広島3連戦の初戦を落として連敗を喫し、勝率5割に逆戻りした。先発の戸郷翔征投手(25)が初回にいきなり2失点。

2回以降は立て直して7回3失点にまとめたが、援護なく自己ワーストタイの8敗目となった。打線は8回に生まれたキャベッジのソロによる1点のみ。床田に1失点完投を許し、首位・阪神とのゲーム差は今季最大の14に開いた。セ・リーグでは、巨人が首位と最大13差から逆転優勝した08年の「メークレジェンド」が最大逆転差V記録。データ上もかなり厳しい状況となった。

 攻略のきっかけをつかめないまま27個のアウトを重ねた。4月に完封されて以来の対戦となった床田の前に6安打で、1失点完投勝利を許した。「同じ投手にずーっと何回も、まあこちらのミス。何も的確な戦略というか、そういうのをできなかったので」と阿部監督。首位・阪神とは、球団史上逆転優勝した前例のない14ゲーム差に広がりデッドラインを超えた。

 残暑の厳しい広島で打線がつながりを欠いた。微妙に軌道や球速が異なる多彩な球種を操る床田を打てず3回まで無安打。

8回2死から代打キャベッジのソロで1点を返すまで三塁を踏めなかった。橋上作戦戦略コーチは試合中の広報発表コメントで「豊富な球種に強弱をつけることで、少しタイミングや芯をずらされている。ズレを少なくするためにもコンパクトにセンター返しを心掛けて」と掲げたが実らなかった。

 床田にはこれで今季2戦2敗(1完封&1完投)。他にも阪神・才木には4戦4敗で防御率0・38、阪神・村上には4戦で0勝3敗、防御率0・60と抑え込まれている。いずれも個人成績でリーグ上位に位置する好投手ではあるが、同じ投手に同じように苦戦する傾向がある。大事なシーズン終盤を見据えても、難敵相手にどう対策を練って立ち向かうかは大きな課題だ。

 チームはこの日からマツダで広島3連戦、甲子園で阪神3連戦、京セラDと岐阜で主催試合のヤクルト3連戦、バンテリンDで中日3連戦と長期遠征。東京Dを社会人の都市対抗野球が使うこともあり13泊14日で12試合を行う。この期間に一つでも多く貯金を作りたい。阿部監督は「調子悪いもなにもないからね。気合でやるしかないので。

今調子を落としている人も、その気持ちだけは持ってやってほしい」とムチを入れて背中を押していく。

 連敗で勝率5割に逆戻りとなり残り28試合。最大13差を逆転して優勝した08年の「メークレジェンド」の“限界点”を超える14差は厳しい状況だが、勝ち続けるしかないのは変わらない。マツダでは今季2勝7敗。27日もまたゼロからプレイボールがかかる。まずは鬼門で意地を見せなければ逆襲は始まらない。(片岡 優帆)

 ◆記録メモ 巨人と首位・阪神とのゲーム差は、今季最大の14差に広がった。過去には63年の西鉄が14.5差、セでは08年の巨人が13差をひっくり返して優勝しているが、63年は残り87試合、08年も66試合。日付で見ても8月に入ってから2ケタのゲーム差を逆転Vは、8月3日に10差だった11年の中日だけ。残りは64試合あった。今年の巨人はあと28試合。残り30試合を切ってから10差以上を逆転した優勝は一度も例がない。

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