日本ハムの宮西尚生投手(40)が27日、自ら記す連載「勇往邁進(ゆうおうまいしん)」で、8月1日に今季初抹消となった際に送られた新庄監督からのダイレクトメッセージ(DM)や金子2軍投手コーチと挑戦中の新球種についてつづった。また、千葉・鎌ケ谷で鍛錬を積む若手選手への激励、優勝争いを戦う1軍への熱い思いを激白した。

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  1日に抹消になってしまいましたが、自分の中では納得しています。大きく状態が悪かったわけではなく、ワンポイントや走者を置いた場面での登板が増え、「打たれたくない」と力みからズレが生じてきていました。7月27日のロッテ戦での押し出し四球【注】もそうしたちょっとしたズレから与えたものでした。原因が分かっていたので、もう一度、慌てずつくり直せばすぐ戻ると感じており、2軍に落ちてから1週間ほどで感覚も良くなってきました。

 新庄監督とも思いは一致していました。降格の際は、インスタグラムのDMで「杉内(俊哉)さん(巨人投手チーフコーチ)みたいな投球をイメージして。脱力感からキレのある真っすぐをベース盤に投げる。もう一度帰ってこい」という言葉をもらいました。そのおかげで、「やることは決まっている」と課題が鮮明になり、全く慌てることなく調整ができています。

 それプラス、新球種のカットボールにも取り組んでいます。自分の場合は良くも悪くも変化球が大きく曲がりすぎる特徴があります。大きい変化だけでなく、カウント球や、ファウルを取れる曲がりの小さい変化球に挑戦しています。

ネコさん(金子2軍投手コーチ)も同じ考えで、登板ごとに数値を見ながらアドバイスをもらい試行錯誤中です。感覚は悪くなく、スライダー、チェンジアップに加え、さらに手札が増えたと実感しています。監督の一言とネコさんの助言、自分の意見が一つにつながり、頭の中と体の動きが一致した理想の状態に近づいています。

 ただ、ファームはコンディションをつくるだけではなく、身体を鍛え直す場所だと思っています。炎天下の中、毎日10本、登板日でも7~8本タイムを設定し、ポール間走を行っています。若い選手に伝えたいのが、ファームで結果を出すことも大事ですが、1軍ではそれ以上のものが必要だということです。出されたメニューだけでは周りの選手と一緒です。時には追い込み、自分を俯瞰(ふかん)しながらトレーニングができるようになると成長スピードも加速すると思います。自分の背中を見て、若い選手が何か感じてくれればいいなと期待しています。

 1軍は優勝争いのまっただ中です。キャンプから1軍でやってきて、この時期に上にいないことはめちゃくちゃ悔しいです。だからこそ今は、最後の最後のしびれる場面を完璧に抑えて、おいしいところを持っていってやろうというモチベーションで自分を追い込んでいます。

リーグ優勝、日本一へ最高の状態で1軍に戻ってきたいと思います。(宮西 尚生)

 【注】4―4の延長11回2死満塁から登板し、藤原に決勝の押し出し四球を与えた。

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