◆JERA セ・リーグ 阪神3―4巨人(29日・甲子園

 巨人が阪神に競り勝ち、連敗を4で止めた。蓄積疲労を考慮されファームで調整していた山崎伊織投手(26)が中13日で6回を1失点の力投。

3年連続2ケタ勝利となる10勝目(3敗)をマークした。打線は同点の6回1死満塁で、キャベッジが走者一掃の二塁打を放ち、勝ち越しに成功。大勢が8回にソロ2連発を許したが、最後は14日ぶりの登板となった守護神マルティネスが1点を守り切って35セーブ目。同率の3位に並ぶDeNA、広島との差を2・5とした。

 山崎は拳を突き上げて雄たけびを上げた。4―1の6回。安打や暴投などで1死二塁のピンチ。4番・佐藤輝に対し外角148キロ直球で見逃し三振を奪った。続く大山にはカットボールでバットを振らせピンチを脱出。ため息に包まれる甲子園の真ん中でガッツポーズだ。

 6回5安打1失点。今季20試合目先発で3年連続の自身最多タイ10勝目を挙げた。

甲子園では通算8試合目の登板で初勝利。「(監督に)1戦目、絶対勝とうと話をしていただいていた。今日はすごい気持ちも入ってましたし、本当に勝ててよかったです」と汗を拭った。

 準備はできていた。前回15日の阪神戦では4回4失点。疲労を考慮され、中13日の登板となった。「今年の投げている映像も全部見て、いろいろ聞いた」と、首位との戦いに備えた。1回、4回以外は走者を背負ったが、最速150キロの直球に「今日はカットボールが有効に使えた」と粘った。5回1死満塁で投手の大竹に中前へ一時同点打を許したが、味方の好守にも助けられ試合をつくった。

 チームのエース格へ、心境や振る舞いに変化が生まれている。昨季まで2年連続シーズン最終戦で10勝をつかんだが、今年は違う。「去年まではもう1個勝ったら『10勝や!』って感じがあったけど、今年は何も感じない。

勝ちにつながる投球をしようっていう気持ちが強い」。10勝は通過点。阿部監督も「貯金(7)ができる投手が良い投手。1つでも増やしてほしい。戸郷で開幕したんですけど、彼なりにいい自覚を持ってできている」と成長を喜んだ。

 5月15日の広島戦(マツダ)。6回4失点で今季初黒星を喫し、悔しさのあまり、試合後に待ち構えていた報道陣の取材を受けずにバスに乗り込んだ。出発してから数分後、広報を通して、山崎のコメントが送られてきた。翌日には「ちゃんと止まって話すべきやったわ。ごめん」と記者に声をかけた。「最初の頃はヒーローインタビューとかもひどかった。それじゃダメだなって思った」。

時には感情を出してもいい。ただファンへ声を届けることもプロの仕事の一つ。チームの顔として、自身が発する言葉の一つ一つにも責任感が芽生えてきた。

 首位・阪神との3連戦初戦を制し、チームの連敗も4で止めた。「これからは自分が知らない11勝になってくる。気を抜かずに頑張りたい」と背番号19。まだ見ぬ先へ―。満足することなく駆け抜けていく。(水上 智恵)

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