◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
記憶に残る勝負が多く生まれた今夏の甲子園は、名前にも物語のある選手が多かった。その一人が、東洋大姫路の白鳥翔哉真(ひやま)外野手。
活躍のたび、名前の由来が注目された。父の一馬さんが元阪神・桧山進次郎氏の大ファンで、3つ上の兄・斗優真さんの時にも名付けようとしたという。その際は止めた母の記子さんだったが、自身の母も桧山氏のファンだったことから、「(父が)『かずま』で、(兄が)『とうま』。『○○ま』にしたくて…」と容認。幼少期、記子さんに抱かれて訪れた甲子園で翔哉真は、自分の名前が呼ばれることに不思議そうな表情を浮かべていたという。そしてこの夏、同じ舞台、同じ応援歌が流れる中で躍動。応援歌を作った市野和則さんも訪れるなど、名前がつないだ縁もあった。
横浜・阿部葉太外野手の名前には、生まれ月の8月を意味する「葉月」と「言葉を大切にする人に」との思いが込められている。敦賀気比・岡部飛雄馬内野手はもちろん「巨人の星」の主人公に由来。「むちゃくちゃ気に入っている。漢字もかっこいい」と笑顔で話していた。
名前の由来を知らない選手もいる。私も恥ずかしながら、就職試験の面接で聞かれるまで、本当の意味は知らなかった。名前は親から子への最初のプレゼントという。多くの親の思いに触れ、自分の名前もより大切なものに思えた。(アマ野球担当・瀬川 楓花)
◆瀬川 楓花(せがわ・ふうか)2022年入社。関西のアマチュア野球を取材。名前の由来は「ふんわりと柔らかなイメージがよかったから」。