◆JERA セ・リーグ 巨人2―3広島(11日・東京ドーム)

 巨人・山崎は、広島ファンの大歓声を耳に、静かにうなずきながらベンチからマウンドを見つめた。キャリアハイとなる11勝目はまたしてもお預けとなった。

6回104球、6安打2失点で試合はつくり、今季144回2/3で3年連続の規定投球回に到達。熱投はチームの勝利にはつながらず「先制された後、逆転してもらいながら、リードしている状態で粘りきれなかったことが反省」と満足はしなかった。

 初回2死から、泉口と首位打者を争う小園に、147キロ直球を右翼席へ運ばれる先制ソロを被弾。さらに2―1の3回には1死から3連打を浴びて満塁。ファビアンへの2球目が暴投となり同点に追いつかれた。4回以降は立ち直り、最速150キロの直球にフォーク、カットなど多彩な変化球を交ぜ毎回の8K。らしさは見せたが「状態はあんまりよくなかった。粘れたといえば粘れたけど、もっと突き詰めていけるところがある」と気を引き締め直した。

 チームをけん引する伊織イズムは継承されている。自主トレをともに行った育成右腕・園田がイースタン・リーグではここまで開幕から無傷の8連勝と、2軍とはいえ山崎のようにエース級の活躍を見せている。後輩は「伊織さんみたいになりたい」と憧れ、助言をもらってきた。「園ちゃんいいピッチャーやで~。

俺みたいになりたいって思ってくれているのはありがたい。でも、自分で聞いていいと思ったものを取り入れてくれたらそれでいいねん」。頼られた時には惜しみなく知識を授けるが、自らの力でさらに成長することを願う。手本であり続けるべく、腕を振っている。

 阿部監督は「悪いなりによく粘って修正した。次は中7日ぐらい空くと思うので万全にして、勝ってもらいたい」と及第点を与えた。最後まで力を出し切り、次回、3度目の正直で過去の自分を超える。(水上 智恵)

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