◆JERA セ・リーグ DeNA9―7巨人(14日・横浜スタジアム)

 2位の巨人は投手陣が崩れて痛恨の逆転負け。3位のDeNAにゲーム差なしに迫られた。

初回に先発・赤星が右肩痛で1死も取れずわずか12球で降板し、1点の先行を許したが、直後の2回、ドラフト2位ルーキー・浦田俊輔内野手(23)の2点適時打などで4点を奪い、藤浪をKOした。しかし、3点リードの4回に救援陣が捕まり一挙6失点。その後の反撃も及ばなかった。勝負所の9月に入って失点が増えており、投手陣はここが正念場だ。

 連日の奇跡が起こる予感が、一瞬でしぼんだ。3点ビハインドの9回。1点を返してなお1死一、三塁、岸田の打席。2球目を投げる前のけん制に、一塁走者の代走・増田大が際どく帰塁した。当初はセーフの判定だったが、DeNA・三浦監督のリクエストによって覆り、アウトに。岸田も二ゴロに倒れて試合終了となった。3位・DeNAに敗れ、勝利数で2位のままだがゲーム差なしとなった。「ここで何を言っても負けは負け。

残り10試合ぐらいしかないし、結果オーライでも勝てばいいんだよね」。阿部監督は悔しさを胸に懸命に前を向いた。

 初回からチームにとって厳しいスタートだった。8月24日のDeNA戦以来、約3週間ぶりの先発マウンドに立った赤星が、先頭・蝦名に二塁打を浴びるなど1安打2四死球、わずか12球で阿部監督が交代を告げた。直前に杉内投手チーフコーチとトレーナーもマウンドに向かっており、指揮官は「(右)肩が痛いって。なので(登録)抹消します」と説明した。先発が1死も奪えず降板するのは球団では17年9月30日の阪神戦で、打者2人目で危険球退場となった畠世周以来だった。

 普段なら150キロ近い球速を見せる赤星だが、この日の直球は初球が141キロで、最速144キロと本調子を欠いたように映る。右腕は試合後「自分では行けると思っていました」と話した。杉内コーチは試合直前のブルペン投球でも出力が上がっていなかったと明かし、仮定も交え「もし登板する前から痛いのであれば、ちゃんと言わないといけない。強い意志を持って投げたんでしょうけど、1軍で投げる先発として責任感があるかどうかというのは問われますね」と指摘した。

 アクシデントとはいえ、即座に先発が降板しては、チームへのダメージは大きかった。

2番手・平内は緊急登板で3回まで踏ん張ったが、4回に崩れ、5連続長短打を許すなど3投手で1イニング6点を献上。乱打戦となった13日の阪神戦(東京D)でも救援5投手が登板しており、何とかブルペンの負担を減らすために先発投手には深いイニングまでの投球を期待したいところだったが、ケラー、泉は連投する形になった。

 ベンチは夏場まで救援陣の3連投を避ける運用をしてきたが、疲労は確実に蓄積している。13日から2戦で計19失点。今月ビッグイニングをつくられるのは4日のヤクルト戦(4回に7失点)、13日の阪神戦(5回に7失点)に続いてすでに3度目で、9月のチーム防御率4・59は月別でワーストだ。先発陣も台所事情は厳しく「ここを何とか乗り切らないとどうしようもないんで、みんなまた頑張ってもらいます」と阿部監督は期待を込めた。ここが、2位死守への正念場。投手陣の奮起で乗り越えたい。(田中 哲)

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