◆JERA セ・リーグ DeNA9―7巨人(14日・横浜スタジアム)

 巨人・リチャード内野手(26)がプロ初の2ケタアーチをマークした。6回にバックスクリーンにぶち当てる特大の10号ソロを放つなど、3打点の活躍。

今季途中に加入した“ロマン砲”が完全覚醒間近を印象づけた。プロ2度目のスタメンとなったドラ2ルーキー・浦田俊輔内野手(23)も2回に一時勝ち越しの適時打を放ってプロ初打点をマーク。悔しい逆転負けの中で、短期決戦へ向け打線に新風が吹いてきた。

 ついに2ケタに乗せた。リチャードが横浜の夜空に高々と放物線を描いた。プロ8年目で初の10号到達。豪快にバックスクリーンへと運んだ。「気持ちと集中力。それだけです」。189センチ、123キロの体を揺らし、堂々とダイヤモンドを回った。

 怪力を見せつけたのは4―7の6回1死。追い込まれてから甘く来た宮城のスライダーを仕留めた。

「うわ~、どんな球投げてくるんだろうとか。楽しみながら」と勝負に入り込んで一閃(いっせん)。阿部監督も拍手で迎えてくれた。

 負ければ3位・DeNAに0差と迫られる一戦。1点を追う2回1死一、二塁から、まずは一挙4得点の口火を切る同点二塁打を放った。藤浪の高めカットボールを左翼線にはじき返し、ムードメーカーの一本から一時逆転に成功。1死も奪えず降板した同学年・赤星の分も、直前に送りバントを失敗していた中山のこともカバーした。8回は中犠飛。3打点と気を吐いた。

 5月12日。長期離脱を余儀なくされた岡本に代わる右の大砲候補として秋広、大江との1対2トレードで電撃加入した。ソフトバンクでは昨季までウエスタン・リーグで5年連続本塁打王、3年連続打点王を獲得するも、1軍では21年の7発が最多。

高い潜在能力を発揮しきれていなかったが、打率1割台でも辛抱強くスタメン起用してくれた阿部監督の下で、類いまれな長打力は本格開花の時を迎えようとしている。

 ブレない男へと変貌(へんぼう)した。練習ではひたすら同じティー打撃をするのがルーチンに。日々同じ動作を繰り返すことで、体の好不調、フォームのズレに気づけるようになった。発案者は亀井打撃コーチ。「すぐ忘れる子だから。ティーの時は毎日オレを呼びなさいって(伝えて)」。指揮官始め、新天地での出会いは大きかった。

 5月13日マツダで放った巨人1号から出場65試合で10発。直近6試合は9打点、マルチ安打4度で打率も2割(1分)に乗せた。スタメンで出る分、控えに回る選手がいる。「無駄にできる打席は一個もない。

(10号は)まだ通過点なので。まだ打てるように頑張ります」。もう、ロマン砲とは呼ばせない。(堀内 啓太)

 【清水隆行Point】 リチャードの成績が安定してきたが、その理由の一つは対応力が上がったこと。以前よりも、かなりセンターへの意識が増しているように思う。もろさを出すときは、どうしてもレフトに意識がいって、特に変化球への対応力に乏しかった。でも、この試合では二塁打、本塁打、犠飛といずれも追い込まれてから、変化球を打って結果を出した。本塁打を見ても分かる通り、パワーは日本球界でも屈指。こういう打席を繰り返していけば、10本と言わずもっと上の数字を目指せると思う。

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