◆JERAセ・リーグ 阪神0―1中日(14日・甲子園

 8回の1イニングを3者三振に封じた阪神・工藤は春先の勢いが戻ってきた。最速159キロの速球を軸に、上林、細川、福永のクリーンアップを圧倒。

6月に2軍落ちした際は、打たれる怖さを知り、フォームを崩して直球も走らなかったが、時間をかけて立て直してきた印象だ。

 福永から奪ったハーフスイングの三振は、外寄りのフォーク。普通なら見逃されてしまう球だが、直球の勢いがあるから、相手打者が反応してしまう。また細川への初球は内角に大きく抜けるスライダー。あわや死球になるようなコースで、首脳陣も肝を冷やしただろうが、相手打者にとっても恐怖。荒れ球も武器にすればいい。

 阪神は藤川監督が「チームの心臓」と絶大な信頼を寄せるブルペンを誇るが、工藤が加われば、鬼に金棒だ。最強投手陣の中でも、重くてドーンと来るような真っすぐの強さはチーム随一。残り試合で自信をつければ、相手打者との対戦数も少ないだけに、ポストシーズンの秘密兵器になれる。(スポーツ報知評論家)

編集部おすすめ