パ・リーグ 日本ハム12―5西武(15日・エスコンフィールド)

 日本ハムは12安打で12得点を奪う猛攻で、ホームで西武に3連勝。貯金を今季最多タイの26とし首位ソフトバンクと2・5差をキープした。

6月以来、約3か月ぶりの昇格となった浅間大基外野手(29)は、6回にダメ押しの左越え2号3ランなど2安打3打点と新庄剛志監督(53)の即スタメン起用に応えた。9日に昇格し絶好調だった今川優馬外野手(28)が、右太もも裏を痛め離脱。代わって昇格した同学年の浅間が、逆転Vへの“ラストピース”になる。

 逆方向へ上がった飛球が、左翼ポール際で弾んだ。浅間は爆発的な歓声の中、右手を上げてダイヤモンドを回った。逆転し3点のリードを奪った6回、なおも2死一、三塁。西武の2番手・黒木の真っすぐを捉えた。試合を決定づける左越え2号3ラン。「(2軍本拠地の)鎌ケ谷では聞けない歓声なんで、すごいうれしかったです」。初回にも左前打を放ち2安打3打点と、新庄監督の昇格即抜てきに応えた。

 “思い”を受け継いだ。14日の西武戦(エスコン)で、ラッキーボーイ的な活躍を見せていた今川が右太もも裏を痛め戦線を離脱。

「鎌ケ谷で本当に暑い中、同級生一緒に頑張ってやっていた。頑張ってほしいという気持ちもあったので、僕が執念受け継いで、優馬の分も頑張ろうと思います」。“執念”は今川の決まり文句。ロッカーで言葉も交わし「『しっかり頑張って』という感じで受け取った。けがして離脱するしんどさは分かってるんで、気持ちはもらってしっかり頑張りたい」と表情を引き締めた。

 ファームでの取り組みが、打球をスタンドまで届かせた。意識していたのはシンプルに、打てるボールを強くフェアゾーンに打ち返すこと。「あのホームランを打てるようにやっていた。横尾さん(2軍打撃コーチ)の前で打てたのも、すごくうれしい1本だった」。離脱中の八木コーチに代わってベンチ入りする師匠の前で、2軍での成果を示した。

 前夜にメッセージでスタメンを告げた新庄監督は取材対応こそなかったが、球団を通じ「2022年3月31日、僕が監督として初めて勝った試合で浅間君が与座君からホームランを打っていたので、今日もやってくれることはわかっていた!」とコメント。昨季はCSでサヨナラ打を放つなど、勝負強さを誇る浅間。

3連勝でもソフトバンクとの2・5差は詰まらなかったが、遅れてきた仕事人が逆転Vへの使者となる。

(山口 泰史)

 ◆新庄監督×浅間 就任1年目の22年3月31日の西武戦(札幌D)で、開幕5連敗を止めて新庄ハムに初勝利をもたらしたのが浅間だった。0―0の2回、与座から放った先制2ランをきっかけに、9安打6得点で快勝。指揮官は「(選手の)自信につながることが一番うれしい」と喜んだ。

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