◆世界陸上 第8日(20日、国立競技場)
男子円盤投げ予選で、日本記録保持者の湯上剛輝(トヨタ自動車)は56メートル40の19位で決勝進出とはならなかった。2007年大阪大会以来の同種目日本代表として堂々と戦い抜き「本当に夢のような時間だった。
生まれつき両耳が聞こえづらく、デフアスリートとしても試合に出場。日常生活でつけている人工内耳は、競技中は外すという。「理由は二つあって、一つ目は遠心力で外れてしまう。もう一つは、何も聞こえなくなるので、自分の世界に入りやすい」と説明した。
今大会では100人以上のデフアスリートの仲間たちが、スタンドからサインエール。「聞こえていなくても、肌で感じるビリビリとしたような感じがあった」とばっちり受け止めた。「僕の姿を見て、少しでもデフアスリートのみんなの刺激になってくれたらうれしいです。僕自身は、競技をやることによって、聴覚障害のある子どもたちや、その親御さんたちに、聴覚障害があっても活躍できるよっていうことを、示していけたらいいなという思いで活動しています。今回の世界陸上出場で、そう感じてくれるのであれば、いいなと思っています」と笑顔で話した。
今年4月に64メートル48の日本新記録をマークした湯上。代表入りを決めている11月の東京デフリンピックも「日本チーム一丸となって過去最高メダルを目指したい」と男子投てき界をさらに盛り上げていく。