◆第59回スプリンターズS・G1(9月28日、中山競馬場・芝1200メートル)
「考察」のスプリンターズS担当は、ヤマタケ(山本武志)記者だ。サトノレーヴの強さを認めつつ、生粋の穴党は刺客探しを宣言。
記憶がよみがえる。8月下旬、人馬も減ってきた函館競馬場で取材していた。連日35度以上の酷暑で熱波に包まれた本州と違い、30度超えはほぼなくカラッとした空気が心地いい。そんななか、ある一頭に目を奪われた。サトノレーヴだ。
筋骨隆々な馬体で歩く姿に貫禄すら感じたが、何より注目は函館にいたことだ。英国遠征明けで、3か月ぶりの今回。暑さを考えると、JRA施設では最も過ごしやすいであろう場所から脚慣らしを始めた。抜かりなく、万全を期した立ち上げ。東の名門、堀厩舎の“強さ”を見た気がした。
今秋のG1戦線は全体的に核不在で、どこからでも入れそうなレースが多いと思っている。短距離路線はどうか。
ただ、気になることもある。高松宮記念を担当した今春、過去10年で国内スプリントG1を連勝したのは、18年高松宮記念&スプリンターズSのファインニードル一頭しかいないと書いた。一瞬の判断、わずかなミスが勝負の行方を大きく左右する電撃戦。今回は紛れが起きやすい小回りの中山だ。過去4年は1番人気の連対すらない。
栗東は先週末こそ少し涼しくなったが、それまでは立っているだけで汗が滴り落ちる異常な暑さだった。頭に浮かんできたのは「夏は牝馬」という言葉。ナムラクレアやジューンブレアなど気になる牝馬が多い。春の覇者の壁が絶対ではないと信じ、さまざまな選択肢から刺客を見極めていきたい。(山本 武志)