プロボクシング世界主要4団体の一つ、WBC(世界ボクシング評議会)は22日(日本時間23日)、WBC&IBF世界バンタム級統一王者・中谷潤人(27)=M・T=が返上、空位となる予定のWBC王座に関し、同級1位・那須川天心(27)=帝拳=と同級2位・井上拓真(29)=大橋=に対し、王座決定戦の交渉を行うよう指示したと発表した。近日中にも対戦が発表される見込み。
天心の世界初挑戦が見えてきた。中谷が保持する2つの世界王座の返上を表明したことを受け、バンタム級が一気に動き出した。WBCが天心、拓真両陣営に対し、空位となる予定のWBC世界バンタム級王座決定戦での対戦交渉を指示。10月21日までに合意しなかった場合は、WBCのルールにより第三者が参加できる興行権の入札で決まるが、米専門メディア「ボクシングシーン・ドットコム」は、すでに交渉中で決戦は11月、東京の予定と報じた。
天心はキックボクシングからプロボクシングに転向し、23年4月のデビュー戦以来、7連勝。WBOアジアパシフィック王座を獲得(返上)し、今年2月には元WBO世界バンタム級王者ジェーソン・モロニー(オーストラリア)を判定で下した。スーパーバンタム級の4団体統一王者・井上尚弥(32)=大橋=が、バンタム級王座を返上後、群雄割拠の様相を呈してきたバンタム級で、天心はWBA&WBC1位、WBO2位、IBF11位と4団体全てで世界ランキングに名を連ねるなどトップ戦線を走っている。
今年8月、地元・松戸市で開催した「天心祭」では中谷の王座返上に関し「返上されたなら、しっかり取りにいくのは必然」と発言。対戦したい相手を聞かれると「選べるか分からないが、(WBCの)2位は拓真選手だから、僕はいつでもやれる準備はできています」と視野に入れていた。
尚弥の弟である拓真はこれまでWBC暫定、WBAと2度世界王座を獲得。実現すれば天心にとっては過去最強の相手だ。
〇…天心は20日まで千葉・成田合宿を実施し、帝拳ジムの公式サイト「那須川天心の成田日記」を連日更新していた。15日に「強く逞(たくま)しくなって帰ってきます」と決意表明。翌日から「速く逞しくなって帰ってきます」「気持ちも強く逞しくなってきます!」と続け、連日のように「逞しく」を使った。最終日の20日も「みんなで切磋琢磨(せっさたくま)し合って走りきりました」。と報告。「たくま」を意識していた?
中谷返上で空位に バンタム級は中谷が近くWBC、IBF王座を返上予定。WBAは正規王者アントニオ・バルガス(米国)、休養王者・堤、暫定王者ノニト・ドネア(フィリピン)がベルトを腰に巻く。
IBFは王座が空位となった場合、1位と2位も空位のため、3位ホセ・サラス・レイジェス(メキシコ)と4位・拓真による王座決定戦とみられていた。拓真がWBC王座に回った場合、レイジェスの相手には5位ランディ・ヌグシェケ(南アフリカ)、6位の日本王者・増田陸(28)=帝拳=も候補に挙がってくるだけに注目される。