自民党総裁選(10月4日投開票)に立候補した茂木敏充前幹事長(69)がこのほど、スポーツ報知のインタビューに応じた。豊富すぎる閣僚経験、党重職を歴任した経歴から、厳しくお堅いイメージを持たれている茂木氏。

そこで、あえて政策のことは聞かず、推薦人に名を連ねる鈴木貴子衆院議員(39)の合いの手を借りつつ、人となりの部分を中心に聞いた。(樋口 智城)

 ―総裁選への意気込みを教えてください

 茂木氏(以下、茂)「自民党の再生、日本の再生は待ったなし。これまでの党・政府での様々な経験すべてをこの国に捧(ささ)げたい」

 ―目立つ場になれば、必ずマスコミで吹聴されるのは「天才エピソード」と、対照的な「えらそうエピソード」です。検証したいんですけど…

 茂「どうぞ」

 ―東大入試、1時間遅刻して合格したのは本当ですか

 茂「それはそう。本当ですよ」

 ―逆に周囲に横柄な態度を取るというエピソードは

 茂「きちんと仕事を任されているから、成果を出さなければいけない。すごく議論するのは、民間企業にいたときからやっていました。でも、中には厳しいって感じられた方がいたのかなと」

 鈴木氏(以下、貴)「(ささやき声で)かなり、かなり厳しいっす」

 茂「その悪い部分は自分も直そうとしています。我々は官僚や霞が関が納得する仕事じゃなくて、国民が納得する仕事をしなきゃいけない。霞が関に気に入ってもらうより、国民が良くなる、経済が良くなるを優先するのは当然です」

 ―自民党にも厳しさを求めますか

 茂「国民がどう悩んでいるか。向き合って解消していかないと」

 貴「ボスは合理性と正確性にうるさいんですよ。逆に、相手が合理的で性格だったらすぐゴメンナサイっていいますから。こんな怖い顔なのに」

 茂「ハハハ。

まぁ謝っていることの方が多いですよ」

 貴「官僚の課長や局長が質問を受けて、答えられないときに後ろでささやく人とかいるでしょう? そういうとき、ボスは『分かっている人が答えてくれればいいよ』と指摘するんですよ。でも、それだと役所の人はプライドが傷ついちゃうかも」

 ―みんな、茂木さんのことをボスって呼んでいるんですか?日本ハムの“ビックボス”新庄剛志監督みたいですね

 貴「自然と広がってますね。若手に仕事を結構やらせて、チーム全体を良くしようという感じは新庄監督タイプかなと思います」

 茂「以前は幹事長、会長とか言われていたんですが、最近無役なので…」

 ―そこは突っ込んでいいところなのか…。茂木さんと言えば、トランプ米大統領に「タフネゴシエーター」と称されたことでもおなじみです

 茂「日米貿易交渉のときですね。あれもチームプレーですよ。私だけがタフだと言われた感じになってますけど、みんなで粘り強く交渉したチームの結果です」

 貴「それ、ちゃん言ってください!他チームでチームワークと言っている人いるんですが、ボスの言うチームと全く違う。ボスは結果を出すための最善チームを作る。仲良しだけのチームを求めない。こういうのをアピールしないと、ちゃんと」

 ―ボス、言われていますよ!

 茂「批判的な意見とか、ほかの話はあまり気にならないので」

 貴「ちょっとは気にした方がいいですよ…」

 ―ところで、忙しいなかでの息抜きはありますか

 「ドラマを見るのが好きです。1日仕事をしていると緊張状態、アドレナリン全開で家に戻るから、リラックスが必要なんですよ。ネットフリックスをよく見ます」

 ―どういうドラマを

 「昔ですが、『101回目のプロポーズ』は良かったなと。1991年くらいかな。

武田鉄矢と浅野温子がハッピーエンドで終わる…」

 貴「ハッピーエンド、好きなんですか?それともダメ男が高嶺の花に、というのが好きなんですか?」

 茂「何というか…『見た目じゃなくて気持ちが大事』というところですね」

 貴「アレ? ボス、あのシーンでなんか自分に自信持っちゃいました?」

 ―茂木さん、そんなに見た目が悪い訳じゃないですよ。でも、あのドラマの名セリフ、2回目の挑戦の総裁選の気持ちを表しているような。

 茂「トラックが止まって、武田鉄矢さんが『ぼくは死にましぇーん』って言うとこですよね」

 ―モノマネ、完璧じゃないですか

 茂「総裁選とかぶっていると初めて言われた…。そんな感じじゃないですよ(きっぱり)」

 ―失礼しました。他に好きなドラマは

 茂「東京ラブストーリーとかは、いいですね」

 ―フジテレビばかりじゃないですか

 茂「偶然、偶然。『不適切にもほどがある』も面白かった」

 ―フジの話題のあとに、そのタイトルは

 茂「えっ? あれはTBSでしょ?」

 ―トレンディードラマとか、昔を懐かしむものが好きなんですね

 茂「最近は時間なくなっちゃったからあまり見られていませんが」

 ―好きな音楽はありますか

 茂「ボサノバ、寝る前によく聴きます」

 ―メチャクチャおしゃれですね。料理はするんですか

 茂「相当、昔、時間があったときはチャーシューを自分で作っていました。タコ糸で巻いてやるんですけれど、タレである程度煮たら、半分切って片っ方をそのままチャーシューに、もう片っ方は紅茶煮にする。脂身が抜けてすごくさっぱり、酒のつまみに最高です」

 ―毎日晩酌するんですか

 茂「そうしたいんですが、貴子さんに怒られるんで。毎日、チェックが入りますから」

 貴「ボスの顔のむくみを取るいい方法ないですかね?素直な人なんで、美容のためキュウリ顔に乗せろとか言ったら全然してくれますよ」

 ―美容に気を使ったこととか、あるんですか

 茂「化粧水とか乳液使ってますが、別に…」

 ―男性なら十分ですよ。いろいろと気を使ってますね。ずばり、総裁選候補者でタコ糸縛ってチャーシューにして、煮てやりたい人はいますか

 茂「ないない、もちろんいませんよ。

議論は戦わせますが、同じ仲間ですから。総裁選が終わったら完全にノーサイド」

 ―でも、昨年の総裁選、石破さんに敗れたあとは重宝されなかった気がしますが

 茂「それは何というか…。石破さんの判断ですからね、うん」

 ―2012年の第二次安倍政権のあとは経産相、経済再生相、外相など、菅政権・岸田政権に至るまでずっと政権の中枢。党でも政調会長、幹事長と重職を担ってきました

 茂「人事で私からお願いしたことは一度もないんです。でも、この状況ですから、自分も変わっていかないとも思っています。これだけ経験を積んだんだから、『そういう立場』にならないといけない」

 貴「結局ボスは、純粋なんですよ。経験あるぜ~とか自分を大きく見せることもない。脇が甘いですし、緩いんですよ。ちょっとくらいは私の父(鈴木宗男参院議員)ぐらい『いい意味での昭和の泥臭さ』がある方がいいのかもしれませんね」

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