◆第59回スプリンターズS・G1(9月28日、中山競馬場・芝1200メートル)

 秋G1開幕戦、第59回スプリンターズS(28日、中山)の出走馬16頭が25日、確定した。ヤマタケ(山本武志)記者が担当する「考察」キーポイント編は、前哨戦の後に気配が急上昇したママコチャに注目。

枠順は26日に決まる。

 ママコチャの取材を続けて、もう5年目になる。デビュー前から「白毛じゃないけどソダシの全妹」などと注目され、一昨年のこのレースを勝つなど実力でも存在感を発揮。話を聞く機会が自然と増えた。そのなかで池江調教師からよく聞く言葉がある。「ホルモンバランスが変化しやすい寒い時期はあまり良くない」。

 サラブレッドの牝馬は12月あたりの寒い時期から春の繁殖期へ向け、母親になろうとするホルモンが強くなる。冬毛が伸びたり、発情がきたり…。ただ、競走能力に与える影響は個体差が大きいという。

 池江師は「今まで1000頭を超える牝馬に接していると思うけど、トゥザヴィクトリーは男勝りな馬でしたね。ママコチャは極めて女性的。対照的ですね」と助手時代に手がけた名牝を引き合いに出し、説明してくれた。

極めて女性的であるがゆえ、寒い時期が不得手。3月に行われる高松宮記念は中間に寒さの中で調整を余儀なくされる。「スプリンターズSの方が組み立てやすい」。頂点への道筋を見据える言葉には説得力がある。

 爪の不安を抱えていた昨年はこのレースまで2戦しか使えなかったが、今年はすでに4戦。《1》〈3〉〈2〉〈2〉着と崩れを知らない。さらに、強い追い風も吹く。栗東は先週末から猛暑が和らぎ、明らかに涼しくなった。「セントウルSの前は息遣いがよくなかった」と振り返りながら、こう言葉を続けた。「今は涼しくなって、2ランクぐらい上がっています」。

 現役最多タイのJRA・G1・23勝。大一番を知り尽くすトレーナーから確かな手応えが感じられ、グンと不気味さが増してきた。

(山本 武志)

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