大相撲秋場所千秋楽(28日・両国国技館)

 横綱昇進後初の優勝を決めた大の里の強さの源は、2面の土俵を備えた二所ノ関部屋の稽古環境にある。早大大学院スポーツ科学研究科でスポーツマネジメントを学んだ師匠、二所ノ関親方が助言を得たのが、早大の平田竹男教授(65)だった。

サッカーJリーグにヒントを得て、“クラブハウス化”を行った。

 優勝の裏には2面土俵の効果があった。1800坪の広大な敷地を両国国技館から約60キロ離れた茨城・阿見町に部屋を創設。部屋に一つの土俵が多い中、短時間でより多くの稽古をこなせるよう設置した。日本サッカー協会の専務理事を歴任した平田教授は、クラブハウスにピッチ3面を持ち、最多のリーグ8度の優勝を誇るJ1鹿島を例に「効率のいい練習の大切さ」と二所ノ関親方に伝えたことが背景にあった。

 さらに、同教授は「(茨城・鹿嶋市に拠点を置く)鹿島が強くなったのは六本木が遠いから。練習に集中できる環境として抜群の立地」と助言。同親方が「人生をかけた」と覚悟を決め、トレーニング室に加え、息抜きのためにバスケコート付きの部屋をつくった。

 大の里は「日体大時代は3面土俵があった。効率は大事」と明かす。土俵外にはタブレット端末(iPad)を導入。動画を見返すことで、細かい悪癖を修正した。

平田教授は「大横綱になれるはず。歴史をつくってほしい」と期待を寄せた。理にかなった方法でさらなる高みを目指す。(山田 豊)

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