◆プロボクシング ▽日本スーパーミドル級(76・2キロ以下)タイトルマッチ10回戦 〇王者・帝尊康輝(3―0判定)東洋太平洋同級11位ベク・ギヨル●(29日、東京・後楽園ホール)

 日本スーパーミドル級タイトルマッチで、初代王者・帝尊康輝(32)=一力=が、挑戦者でOPBF東洋太平洋同級11位のベク・ギヨル(30)=韓国=を3―0の判定で下し、初防衛に成功した。両者は今年3月にノンタイトル8回戦で対戦し、帝尊が6回TKO勝ち。

今回は日本王座を懸けたダイレクトリマッチだったが、帝尊が返り討ちにした。

 戦績は帝尊が19勝(15KO)6敗3分け、ベクが7勝(4KO)3敗2分け。

 サウスポースタイルの帝尊は、序盤から左を上下に打ち分けて主導権を握った。4回以降、距離を詰めてくるベクに対し、上下への左アッパーで応戦。5回終了時の途中採点では、2者が48―47と帝尊を支持、1者が1ポイント差でベクを支持した。中盤以降は頭から突っ込んでくるベクとの乱打戦に。8回、帝尊には右フック、左アッパーでベクをぐらつかせた。最終回、帝尊は「オッシャー」と声を出しながら気合で最後の力を振り絞った。ジャッジの採点は、3者とも96―94で帝尊を支持した。

 現在の同級の日本ランカーは、王者・帝尊以外は東京五輪代表の1位・森脇唯人(29)=ワールドスポーツ=しかいない。初防衛を果たした王者は「別にやるときになったらやる。森脇という人が出てきたら、やるしかない。

それだけ」と話した。

 試合後のリング上では、「ものすごくお金が転がっている階級なので、そこにやっぱり挑戦はしたいですよね、男として。日本で挑戦できるのは僕しかいない。その使命を持って、また現役を頑張りたい」とアピールした。試合後の控室で、その発言からさらに踏み込み、思いを吐露した。

 「日本でスーパーミドル級は歴史もないし、(23年6月に初代王者になって)この2年以上、初防衛戦もできていなかった。でも世界で見たら、今年一番のお金が動いたわけじゃないですか」

 今月13日(日本時間14日)に米ラスベガスで行われた同級4団体統一タイトルマッチで、挑戦者テレンス・クロフォード(37)=米国=がサウル“カネロ”アルバレス(35)=メキシコ=に勝利。両者のファイトマネーは合計約300億円とも伝えられている。

 「カネロ1人で200億円を超えている。挑戦者のクロフォードも約100億円で、合わせて300億円以上でしょ。たった2人で一夜にしてそのお金が成立する。夢かもしれないが、この階級でこの国のトップであり、アジア(王座)も取ったことがある自分からしたら、そりゃ挑戦もしたい。

自分は凄い人だとは思っていないが、自分がパイオニアとして牽引して、世界に向けて行けるように、わずかかもしれないけどこの自分の使命を持ってやっていきたい」

 日本スーパーミドル級の第一人者として、大きな野望をぶち上げた。

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