◆第79回国民スポーツ大会高等学校硬式野球競技会▽準決勝 山梨学院10―4県岐阜商(30日・マイネットスタジアム皇子山)

 国内主要大会では初めて7回制が導入され、準決勝2試合が行われた。県岐阜商は山梨学院に敗れたが、最終回に左手指のないハンデを持つ横山温大(はると)右翼手(3年)が2点二塁打を放ち、場内を沸かせた。

山梨学院は菰田陽生(はるき)一塁手(2年)が4安打2打点の活躍で勝利をつかんだ。山梨学院と、仙台育英(宮城)を破った高川学園(山口)が決勝へ駒を進めた。

 最後まで主人公だった。2―10で迎えた7回無死一、二塁、県岐阜商・横山が右中間に2点二塁打を放った。最後は足がもつれてヘットスライディングするも三塁で憤死。それでも会場の拍手は鳴りやまない。ヘルメットを取って、観客へ頭を下げた。「色々な人に支えられてきた。この場所で最後に打ててよかった」。高校野球最後の打席で、思いのこもった一打が出た。

 生まれつき左手の指が欠損しているというハンデがありながら、今夏の甲子園4強入りに貢献し、誰よりも注目を浴びた。町中でも声をかけられる機会は増え、10月には母校の緑陽中での講演も決まっている。

「ありがたいこと。うれしい気持ちです」とはにかんだ。

 3年間を振り返って横山は「高校野球に悔いはないです」ときっぱり。次のステージでも感動を与え続ける。(藤田 芽生)

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