将棋の藤井聡太王座=竜王、名人、王位、棋聖、棋王、王将=に伊藤匠叡王が挑む第73期王座戦五番勝負第3局が30日、名古屋市の名古屋マリオットアソシアホテルで指され、伊藤叡王が103手で勝利し、シリーズ2勝1敗とし、二冠に“王手”をかけた。

 午前9時に対局開始。

先手・伊藤、後手・藤井ともに飛車先の歩を進める相掛かりの戦型となった。62手目を考慮していた藤井は、昼食休憩開始の午後0時10分を待たず、同0時7分に休憩入りすると記録係に呼びかけた。この場合、藤井が0時10分まで考えたことになり、消費時間に加えられた。

 最終盤。午後8時を過ぎ、先手の99手目で残り時間は伊藤13分、藤井8分。あぐらだった伊藤は正座になり、強いまなざしで盤上を見つめた。藤井は腕を組み、時折頭をかき、天井を見上げる。100手目で角を打ち、王手をかけたが、103手目で詰みとなり、投了した。

 会心の差し回しで勝利した伊藤は「すぐ1週間後にある。体調面も含めて準備したいと思います」。第4局は10月7日に神奈川・秦野市の元湯陣屋で行われる。勝てば23年度に藤井から奪った叡王タイトルに続き、同学年の藤井から2度目のタイトル奪取となる。

 敗れた藤井は「ここまで全体的に残り時間が少なくなってからのミスが続いてしまった。反省点を踏まえつつ頑張りたいと思います」と崖っぷちからの“終盤力”発揮を誓った。

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