◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 ボート界に若き関東チャンプが誕生した。名前は砂長知輝(すななが・ともき)。

26歳でのG1初優勝は、タイミングだけを見れば早いかもしれない。ただ、そこまでは決して平坦ではない道のりで、悩み苦しむ日々もあった。

 昨年7月、砂長を取材した時のことだ。のちのG1ウィナーの表情は浮かなかった。道中で着を落とす苦しいレースを終えた後に「最近は何もうまくいかなくて…。勝てば楽しいんですが…」とポツリ。A1級ならではのオッズという重圧、最上級を守るための勝負駆け…。胸の中の悩みを、真夏のうだるように暑いピットで明かした。

 気の利いた励ましも何もできなかった。だが、話を聞いて本人に寄り添うことは、辛うじてできていたのかもしれない。「話していたら楽になってきました。もっと楽しんでレースしてみます」。

そう締めて、晴れやかな表情で水面へ向かった。そのシリーズでファイナル進出を達成。優勝戦に向かう直前には「最終日まで楽しんでレースしたい」と明るく語る姿に胸が温まった。

 迎えた2026年2月。砂長は多摩川G1第71回関東地区選手権の優勝戦1号艇をゲット。優出インタビューで、緊張の表情を浮かべながらも言い切った。「明日は楽しんでレースしたいと思います」。結果は一気のイン逃げで栄光をもぎ取った。

 楽しむことが結果につながる。砂長が教えてくれた。さらに大きな舞台へ羽ばたくことになれば、今まで以上の緊張もあるだろう。ただ、重圧に一度打ち勝った人間は強い。

強者(つわもの)ぞろいのレースも砂長ならきっと楽しめる。(ボートレース担当・三池 和輝)

 ◆三池 和輝(みいけ・かずき)2026年入社。好きな決まり手は2コース差し。

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