3月末にNHKを退局した和久田麻由子アナウンサーが、4月からフリーアナウンサーとして新たな一歩を踏み出した。25日スタートの日本テレビ系の新報道番組「追跡取材 news LOG」(土曜・後10時)ではメインキャスターを担当。

本紙のインタビューに2児の育児と仕事の両立や、新番組への思いを語った。(奥津 友希乃)

 NHK退局から10日後の今月10日、東京・汐留の日テレで新番組「―news LOG」メインキャスターとしてお披露目された。会見直後にインタビューに応じた和久田アナは、フリーアナとして“初仕事”を終えると「すごく緊張しました…!いよいよ、始まるんだなと前向きな気持ちです」。公共放送から民放へ、アナウンサー人生の第2章が幕を開ける。

 安定感抜群のアナウンス力と、知的で凜(りん)としたたたずまいが魅力の正統派アナ。対面すると、朗らかで親しみやすい素顔がのぞいた。

 インタビューが10分間の制限付きであることを伝えると「分かりました。端的に、早めにしゃべらないと」とギュッと小さく拳を握った。質問を重ねるごとに「大丈夫ですか?こんなお答えでも…」と、記者やスタッフに確認を取りながら丁寧に言葉を紡いだ。

 アナウンサー歴16年目で初めて、日テレに足を踏み入れた。

 「社屋にいても、こんなに外の光を感じられることに驚きました。NHKの局舎は複雑に入り組んでいて、窓のない部屋も多かったので。

長らく仕事をしていたので(NHK局舎も)居心地が良かったんですけど、日の光を感じながら仕事ができるのは新鮮です」

 NHK時代はスポーツ紙など媒体の個別インタビューに応じる機会はめったになく、人となりはベールに包まれてきた。東大卒の経歴は広く知られるところだが、大学時代は「実は、ビジネスウーマンになる!と思い込んでいました」と明かす。

 「経済学部でしたし、ビジネスの現場で仕事をするのだろうと漠然と考えていて就職活動は銀行ですとかメーカー、航空会社などに関心がありました。一方で『世の中のお役に立つ実感をダイレクトに得られる仕事、職場はどこだろう』と考えるようになりました。NHKのニュースの正確さ、知的好奇心を満たす番組作り、手話を活用して広く情報を届ける姿勢に惹(ひ)かれ、ご縁があったというのが正直なところです」

 2011年に入局し、「おはよう日本」「ニュースウオッチ9」などの看板番組を担当。紅白歌合戦の司会や東京五輪開会式の中継キャスターを務め、エースアナとして活躍した。私生活では、箱根駅伝で活躍した早大出身の会社員と19年に結婚し、出産も経験。2児の母親として育児に励む中で、自然と心境に変化が生じていた。

 「NHKで15年間育てていただき、経験したこと全てがかけがいのない財産です。退職を決断したのは子どもを授かり、家族と過ごす時間と仕事とのバランスを考えるようになったことが大きかったです。葛藤もありましたが、もう少し柔軟な働き方を望む気持ちが膨らんでいきました」

 子育ては「常に時間に追われている」という。充実感がありながらも、体力勝負の日々だ。

 「子どもたちは家の中でも常に走り回っています(笑)。あれこれやっていると、あっという間に一日が過ぎてしまう。私は仕事では入念に準備して、ぬかりなく放送に臨みたいタイプで慎重なんですけど、日常は結構のんびりしたところもありまして。日用品のストックをよく切らしてしまいます。家族にも補ってもらいながら乗り切る、そんな暮らしを送っています」

 つかの間の息抜きとして、日テレ系人気番組「世界の果てまでイッテQ!」や「上田と女が吠える夜」を欠かさず視聴するなど、実はバラエティー好きな一面を明かす。

 「あまり自分では日常で言えないようなことを、代わりにスタジオの皆さんが楽しくトークしてくださるので、番組を見て笑って、ストレス発散させていただいています」

 子育てを経験し、慣れ親しんだ古巣を離れる決断を経ても、アナウンス職への意欲は衰えなかった。

 「アナウンサーとしてのキャリアや、やりがいというのはやはり自分の中で揺るぎないものがある。今は子育てに重きを置く時期ではあるんですけど、世の中に少しでも役立つ番組をお届けするような場に関わらせていただけるのであれば、自分がこれまで得た伝え手としての経験や技術を少しでも生かしたい、汗をかきたいと思っています」

 民放初出演となる「―news LOG」はニュースの結論だけではなく、そこに至るプロセス「LOG=取材の記録」も伝える追跡ドキュメンタリー型ニュース番組だ。「プロセスも大切な情報として伝えることは、自分が理想とする報道の形でもあり、新たな挑戦になる」と強く共感し、メインキャスターのオファーを引き受けた。

 “デビュー戦”の25日は、元スピードスケート日本代表・高木菜那さん、美帆さん姉妹への独自取材を伝える予定だ。

 「今までの(NHK時代の)伝え方よりも、より生活感覚を生かしてニュースを捉えるスタンスも求められているのではないかと感じています。堅苦しい言葉だけでなく、等身大の感覚で、時には泥臭く日常の課題を掘り下げていく役割を担えるようになっていきたい」。

真摯(しんし)に柔軟に、飾らない言葉で、日本のニュースに新たな風を吹かせていく。

 ◆和久田 麻由子(わくだ・まゆこ)1988年11月25日、神奈川県出身。37歳。東大経済学部卒業後の2011年、NHK入局。初任地は岡山放送局。14年から東京アナウンス室。26年3月末に退局。在局中の主な担当番組は「おはよう日本」「ニュースウオッチ9」「ニュース7」など。趣味はミュージカル鑑賞。163センチ。

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