国内の携帯電話市場が、数年ぶりに本格的な値上げの局面を迎えている。NTTドコモ、au、ソフトバンクの大手3社は、データ通信無制限プランで実質的な料金引き上げを進めている。

背景にあるのは物価高と、爆発的に増大する通信量への設備投資だ。楽天モバイルが価格を据え置く中、生活に欠かせない通信費の増大が家計を圧迫し始めている。

 政府主導の値下げ圧力によって定着した「各種割引適用後の4000円台」という無制限プランの均衡が崩れている。スマホによる音楽ライブやスポーツなど動画の長時間視聴が定着化しつつあるが、通信インフラを維持・高度化するための巨額なコストが必要だ。高画質な動画視聴の一般化により、ネットワーク負荷は増大の一途をたどる。各社は基地局の増設やバックボーン回線の増強を余儀なくされ、その維持管理費は収益を圧迫している。

 また、世界的なエネルギー価格の高騰は、膨大な電力を消費する通信基地局の運営コストを直撃した。さらに円安に伴う通信機器や半導体の調達コスト上昇が、次世代インフラである5Gや衛星通信整備の足かせとなっている。

 こうした値上げの波に対し、唯一「Rakuten最強プラン」の価格を3278円(無制限時)に据え置いているのが楽天モバイルだ。他社との価格差が拡大する中で存在感を示しているが、大手3社が直面する「インフラ維持コストの増大」という課題は、自社回線エリアを広げる同社にとっても避けて通れない火種となる。

 食料品や公共料金の値上げに続き、生活インフラの基盤となった携帯電話料金の値上げ。当面の間は、支出の見直しなど家計の最適化が求められそうだ。

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