◆サッカー北中米W杯▽決勝トーナメント2回戦 ブラジル1―2ノルウェー(5日、ニューヨーク・ニュージャージー競技場)

 【ニューヨーク5日=金川誉】ノルウェー(FIFAランク31位)は、最多5度優勝のブラジル(同6位)を2―1で破り、初の8強入りを決めた。エースのFWハーランド(25)が2得点を決め、3度目の挑戦で16強の壁を破った。

日本に勝利して16強に進んだブラジルは、終了間際にFWネイマール(34)のゴールで1点を返したが及ばず。9大会ぶりに8強入りを逃し、試合後にはネイマールが代表引退を示唆。イングランド(同4位)は開催国のメキシコ(同14位)を3―2で退け、60年ぶり2度目の頂点へ前進した。

 まさに“怪物”のひと振りだった。後半45分。ハーランドがボックス外から左足を振り抜くと、DFの股を抜いた低弾道のシュートがゴール右隅を射抜いた。後半34分の先制点に続くこの日2点目。王国ブラジルにとどめを刺す今大会7ゴール目で、メッシ、エムバペに並び、得点王争いのトップへと躍り出た。

 「自分が何を成し遂げているのか、言葉で表現するのは難しい。それほど現実離れしている。時々、自分の腕をつねって『これは現実なのか』と確かめる必要がある。それほど大きなことなのです」

 ちゃめっ気ものぞかせた25歳は、プレミアリーグで3度得点王に輝いた実力を初の大舞台でも存分に発揮。

ただ、W杯制覇経験国のアルゼンチンやフランスの両エースと異なるのは、ノルウェーが過去に16強の壁を越えたことがない点だ。

 32強でブラジルに敗れた日本と同じく、北欧の中堅国にとって過去(38、98年)に2度、つまずいた16強のハードルは高かった。この日も前半はPKを献上するなど、ブラジルにのまれてもおかしくない展開に。それでも、エースの雄姿がチームを勇気づけた。195センチの巨体を生かして屈強なCB陣と渡り合い、前線でボールを収めて起点に。味方にスペースと時間をもたらして流れを引き寄せると、最後は異次元の決定力で試合を決めた。

 2アシストで勝利を演出したシェルデルップは「彼は毎試合、どんな状況でもゴールを決める。極端な話、何も見ずに適当にパスやクロスを出しても、彼がゴールに変えてくれる」と興奮気味に語った。代表公式戦で14試合連続得点(27点)を継続中のハーランドも「チャンスが1、2回あれば、大抵はゴールになる。どうやっているのか自分でも分からないが、それが僕という人間なんだ」。エースへの絶対的信頼が王国をも凌駕(りょうが)する組織力を生み、対ブラジルは3勝2分けと無敗を継続した。

 試合後には今大会の風物詩となった「バイキングロー(全員で舟をこぐパフォーマンス)」を太鼓で先導したハーランド。

「自分たちはただ前へ、前へと進み続けた」。4強入りをかけて激突するは、サッカーの母国イングランドだ。歴史を塗り替える怪物の挑戦は続く。(金川 誉)

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