◆サッカー北中米W杯▽決勝トーナメント2回戦 メキシコ2―3イングランド(5日、メキシコシティー競技場)

 ノルウェー(FIFAランク31位)は、最多5度優勝のブラジル(同6位)を2―1で破り、初の8強入りを決めた。エースのFWハーランド(25)が2得点を決め、3度目の挑戦で16強の壁を破った。

日本に勝利して16強に進んだブラジルは、終了間際にFWネイマール(34)のゴールで1点を返したが及ばず。9大会ぶりに8強入りを逃し、試合後にはネイマールが代表引退を示唆。イングランド(同4位)は開催国のメキシコ(同14位)を3―2で退け、60年ぶり2度目の頂点へ前進した。

 標高約2200メートルのメキシコシティー競技場で死力を尽くし、イングランドのイレブンはその場に倒れ込んだ。完全アウェーの中、後半に数的不利に陥る極限の戦いで真価を発揮し、激闘の末にメキシコを3―2で下して8強進出。「クレイジーゲーム」。試合後、大黒柱のFWケインのガラガラ声が、その死闘を物語っていた。

 劣勢の序盤を耐え、速攻からMFベリンガムが2得点して理想的な展開に持ち込んだかに思われた。しかし、2―1の後半9分にDFクアンサーが一発退場。直後の同15分に獲得したPKをケインが猛烈なブーイングに動じず決めたが、9分後に再び1点差に迫られた。

 ここからトゥヘル監督は、守備固めに入る。ベンチで34歳の長身DFバーンを呼び寄せ、こう伝えた。

「シュートを止め、クロスを防ぎ、粘り強く戦い抜け」。守備的MFアンダーソンに代えて投入され、5バックに変更。クロスからの攻勢を必死にはね返し、オーバーヘッドキックに頭から飛び込んで阻む場面も。自陣にくぎ付けにされながら、12分を超えたアディショナルタイムも必死に耐え抜いた。

 会場の通称「アステカ・スタジアム」は、1986年大会準々決勝でアルゼンチンのマラドーナに「神の手」と「5人抜き」の2ゴールを許し、1―2で屈した因縁の地。メキシコにとっても、W杯6連勝中で10戦不敗という要塞(ようさい)だったが、歓喜の記憶に塗り替えた。勝利を決めた試合後には、サポーターの元へチーム全員で近寄り、オアシスの「ワンダーウォール」を一緒に熱唱。ケインは「周りを見てください。本当に信じられない光景。サポーターの応援は本当に素晴らしかった。言葉が出ません。本当に声も出ないので…」と苦笑いを浮かべながらも、勝利の味をかみしめる。

「このチームの精神力を誇りに思う。決勝で勝った気分だ」とトゥヘル監督。自国開催で優勝した66年大会以来の世界一まで、あと3勝に迫った。

編集部おすすめ