◆第108回全国高校野球選手権神奈川大会▽1回戦 横須賀工11―2寒川・藤沢総合・深沢・厚木清南連合(8日・横須賀)
連合チームとして出場した深沢は、来年度から藤沢清流との統合が決まっている。現在の所属部員は小林諒大外野手(3年)の1人。
たった1人になっても、野球部のともしびを消さなかった。1学年上の先輩、小林旭稀(あさき)さんが卒業すると、野球部員は1人に。「孤独も感じていた」と言いながらも、グラウンドを離れることなく3年間を走り抜けた。
1年時は最初の夏で辞めるつもりだった。しかし出場した大会で足をつり、「このまま終われない」と責任感を感じ、続ける決意を固めた。2年生の夏、先輩の引退後には部員が1人になった。「最後までやらなきゃいけない」という強い責任感と、野球が好きという気持ちを支えにグラウンドへ通い続けた。
学校の同級生も大きな支えになった。「最後まで期待しているよ」。そんな言葉を何度もかけてもらった。試合前日も帰り道で「頑張れ」と大きな声援をもらった。
先輩の小林旭稀さんも、引退後の1年間、母校へ通い続けた。顧問が異動し、十分な指導者がいない状況の中、火曜日と木曜日は学校へ足を運び、キャッチボールから打撃投手まで務めた。小林旭稀さんは「(試合前日の)昨日も一緒に練習をしていたんですけれど、(試合の様子を見て)硬いですね」と2人で行った練習の日々に思いをはせ笑みを浮かべた。
共に汗を流した後輩。誰よりも近くで成長を見守ってきたからこそ、「(打球を)飛ばせるようになり、ホームランを狙える打者になった。今年は期待しかなかった」と後輩の成長を誇らしげに、母校の最後の夏を静かに見届けた。
一方で、心配もしていた。「同級生もいない状況だったので、途中で辞めてしまうのではないか」。実際、後輩が弱音を漏らす姿も見てきた。それでも最後までユニホームを脱がなかった姿に、「3年間続けてくれたことが本当にうれしい。感謝しています」と言葉に力を込めた。
母の愛さんも、わが子の3年間を静かに見守ってきた。「よく1人で頑張ったと思います」と優しく息子へ語りかける。毎年連合チームの形は変わり、環境も仲間も変化し続けた。それでも息子は野球を辞めなかった。「OBの皆さんが支えてくださり、先生方も指導してくださりました。周りの方へ感謝しかありません」と頭を下げた。試合ではあと少しで本塁打という大飛球も放った。「できればホームランも見たかった」とほほえみ、「悔いなく終えられる1本、2本が出てくれたらうれしい」と願いながら、最後まで息子の背中を見守り続けた。
深沢は今年度限りで歴史に幕を下ろす。しかし、たった1人でも守り続けた野球部の歴史は消えない。支えてくれた学校、OB、恩師、家族への感謝を胸に、深沢最後のユニホームを脱いだ。










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