元AKB48のタレント・高橋みなみ(35)が、4月から川崎市の洗足学園音楽大学で客員教授を務めている。2005年に観客7人からスタートした秋葉原のローカルアイドルは、7年後の東京ドーム公演で3日間計14万4000人を動員する国民的グループに成長。

高橋自身は初代総監督として約300人のグループをまとめ、ソロ歌手デビューも果たした。その経験を踏まえて、夢を持つことの大切さを学生たちに伝えている。(有野 博幸)

 東京ドーム公演やNHK紅白歌合戦などの大舞台を経験してきたが、客員教授として教壇に立つのは勝手が違う。高橋は「学業より芸能活動を優先してきた自分に何が出来るのか。新しいフィールドにチャレンジするワクワク感と同時に不安がありました」と教べんを執ることになった時のことを振り返る。

 昨年6月、洗足学園音楽大学で特別講演会「自分を『選んでもらう』『見つけてもらう』ために必要なこと」を開催。質疑応答も活発に行われ、学生からは「一歩踏み出す勇気をもらえた」と前向きな感想が寄せられた。好評ぶりを受け、客員教授のオファーにつながった。大学側からは「自由に経験を話してください」と委ねられ、「仲間たちと夢を叶えた自負がある。その経験をお伝えできれば」と今年4月から学生たちに“指導”を行っている。

 夢を叶えるため、「言葉にして発信すること」を意識してきた。「私は元々、中森明菜さんのような歌手になりたいという夢があった。

それを口にすることで周囲が理解してくれて、応援してくれる仲間が増えた。プロデューサーの秋元康さんも『明菜さんのような曲を用意しよう』と言ってくれた。夢を語ることは恥ずかしいことじゃない。心の中で思っているだけでは、誰にも伝わらない。まずは口に出すことが第一歩」を信念としている。

 秋元さんからは多くの金言をもらった。「秋元さんは、よくマラソンを例え話に使うんです。『ゴールはちょっと足を伸ばした先にある。でも、みんなその直前で諦める』とか、『みんな同じタイミングでスタートするけど、ゴールのタイミングは違ってもいい』とか」。実際のアイドル活動はガムシャラに走り続ける日々で「転んでも倒れている暇はない。死ぬ気で叶えたい夢があるなら、転んでいる場合じゃない」と自らを鼓舞していた。

 グループ所属時は劇場公演、テレビ出演、レコーディングなど、めまぐるしい毎日。

「予定調和じゃないのがAKB48。常に迷いながらトライ&エラー。秋元さんのむちゃぶりにメンバーが必死に食らいつく、ど根性の青春でした」。ステージでは華やかな衣装に身を包み、笑顔で歌っていたが、実情は体育会系だった。

 選抜総選挙では、自身の立ち位置が順位という明確な数字で可視化されるプレッシャーにさらされ、「考えることも大事だけど、考えないことも大事だと思いました」。観客7人からスタートして7年後、夢だった東京ドームのステージに立ち、「あの景色は一生、忘れません。諦めなくて良かった」。苦難を乗り越えたからこそ、夢舞台は輝いて見えた。

 学生には「夢は変わってもいい」と伝えている。「私自身、歌手で勝負したいと思っていても、しゃべることを求められることが多い。実際にその方が成果を出せる。違う選択肢が出てきた時に、無理をして幼い頃からの夢に固執しなくてもいい」。

人生は選択の連続だ。「たとえ途中から違う道に行ったとしても、自分が納得できれば、それが正解」。自身の経験も交えて、語りかける。

 意表をついた質問に、たじたじになることも。「老後のこととか、貯蓄とか、今の学生は私たちが10代、20代の頃より、物事を真剣に考えている。本当に悩んでいる人の質問は心に響く。私に聞いてくれるのが嬉しい」。客員教授にならなければ経験できなかった出会い。「現代を生きる若者の鋭い感性に触れることができて、嬉しい。私自身も成長させてもらっています」。その表情には充実感が漂っている。

 ◆洗足学園音楽大学 川崎市にキャンパスを有する単科大学。

音楽学部を設置している国内大学の中で最大の学生数と最多の19コースを有し、自身の関心に合わせてコースやカリキュラムを選択。主な卒業生にマカロニえんぴつ(ロック&ポップスコース、電子オルガンコース)、SEKAI NO OWARI・Saori(ピアノコース)、平原綾香(ジャズコース)、昆夏美(ミュージカルコース)ら。

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