将棋の西山朋佳白玲(31)=清麗、女流名人、女流王将=が10日、金沢市内で指された第6期白玲戦七番勝負第5局で挑戦者の福間香奈女流四冠(34)=女王、女流王座、女流王位、倉敷藤花=を118手で破り4勝1敗で防衛、通算5期目のタイトルを獲得した。これにより、女性では史上初となる棋士の資格を得た。
将棋界の歴史を自ら動かした瞬間でも、西山の表情はいつもの終局後と変わらなかった。
棋士になる資格を行使するかどうかを聞かれ「このシリーズは盤面に集中することを心がけていたので、すぐに答えを出せる状況じゃないかなと思います」。ややうつむき加減で、一つ一つ言葉を選びながら即断を避けた。今シリーズ中は「(権利のことを)一切考えないようにしていた」という。
棋士養成期間・奨励会時代に19年度後期の三段リーグで14勝4敗で次点と、涙をのんだ。24年には編入試験の資格を得て受験し、2勝3敗と、あと1勝が足りなかった。それだけに、「白玲を通算5期獲得」という“三度目の正直”でつかんだ棋士への道を即座に選ぶかとも思われたが、慎重さを崩さなかった。
「女流棋士としてやらせていただくにあたって、本当にたくさんの方にお世話になって、今こうして将棋を指せていると思っている。私だけの問題ではない。家族もいるので周りと相談して方針を決めたい。いろいろな方のご意見を伺っていけたら」。
日本将棋連盟によると、権利を行使できるのは取得から2週間。この間には、13日の女流王将戦三番勝負第2局など、タイトル戦も控えており、過密スケジュールをこなしつつ、女流棋界誕生から52年の中で初めてとなる決断をすることになる。「先ほど対局が終わった状態で疲労困憊(こんぱい)なので、冷静な状態で考え直したいと思います」と西山。果たして、どのような答えを出すのか。(中西 珠友)
〇…自身も編入試験を2度受けるなど、棋士への意欲を見せていた福間は、最大のライバルである西山に“最後の1勝”を与える形に。「(第5局は)中盤での飛車成りが1回休む手になり、まずかった。(今シリーズは)結構いい将棋を落としてしまったので、仕方のない結果かなと思います」と、終盤で逆転を許した開幕局など不本意な対局も振り返り、敗北を静かに受け入れていた。
◆西山 朋佳(にしやま・ともか)1995年6月27日、大阪・大阪狭山市生まれ。31歳。伊藤博文七段門下。5歳で将棋を始め、2010年に関西奨励会に入会。

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