9月27日のプロボクシングWBC世界バンタム級タイトルマッチで判定負けした那須川天心(28)=帝拳=が19日、都内で「TEAM TENSHIN」YouTubeチャンネルの企画として、自身が主催した「緊急非公式会見」を開催した。「前回の試合から、何も格闘技のことを話していない」と発言を控えてきた天心が沈黙を破り、試合の振り返り、今後について、SNSでの誹謗(ひぼう)中傷への問題提起など、約80分間にわたり語り尽くした。

 「今回の試合を終えて、『ここまで言語が通用しないか』と感じました。記者の皆さまとも、試合を見てくれる人とも、こういった思いや意図があっていろんな発言をしているんだよと、しっかりと同じ方向を向こうということで会見を開かせていただきました」

 天心は試合後の会見で「負けた気がしない」「ボクシングで負けた」などと発言。これらの言葉の切り抜きが独り歩きし、一部で批判が広がった。会見では、自身の発言の真意が伝わらなかったことへのもどかしさをにじませた。

 「試合後で12ラウンド戦って、顔面も殴られて、同じ相手に2回負けて頭も真っ白な状態で、急にカメラとマイクを向けられて、あそこの場で話していた。そういった状況や場面を踏まえて、いろんなことを考えてほしかった。みんなネガティブな方向に持っていきすぎ。僕は本当に『ボクシングという競技に負けた』と発言をしたつもり」

 会見を開いた背景には、発言の真意を伝えるだけでなく、ボクシング界への危機感もあった。天心は、批判を集めるために言葉を切り取る風潮に疑問を呈し、言葉一つで人を傷つけ、競技そのものからファンを遠ざけかねない現状を懸念した。

 「僕は競技者である前に興行をしっかり盛り上げなきゃいけないと思いますし、僕はボクシングを良くしようということを常に考えている。今までボクシングを見たことがなかった層を取り入れようとかいろんなことを考えて、いろんなものを背負った上で発言をしている。僕はボクシングをやっている以上、ボクシングを盛り上げたいわけなので、その入り口が狭くなっちゃうのが嫌なんですよ。

SNSを見て『ボクシングを見るのをやめよう』という人が増えてしまうのが、僕の中での懸念点だった」

 SNS上の反応については「言われることに対して傷ついてはいない」としながらも、度を越した誹謗中傷には一線を引いた。自身の親やトレーナーにまで及ぶ攻撃を挙げ、「好き嫌いの物差しで言うのとは違う。嫌いなものを言うより、自分の好きなものを言える場所であってほしい」と訴えた。

 「自分が食らっているとか、そういう問題ではなく、これは本当に社会的な問題だなと。僕は社会と戦っているつもりなんですよ。自分に起きた問題だけじゃなく、いろんな業界、スポーツ、エンタメでも起きている。だからこういう問題提起をしている。本当に集団いじめなので、社会のためにも立ち向かおうというのはあります。それをネガティブに捉えるのではなく、それさえもネタにして面白くできるように変えていきたいのが僕の提案です。『文句ある人は武道館に来てください。アンチ武道館やりましょう』と討論するとか。そっちの方が面白いじゃないですか」

 ただし、自身を応援するファンが批判に反論し、SNS上で争うことは望んでいない。

「本当のファンなら、受け流してほしい。僕の名前を使って反論している人は、本当に僕のことを応援してくれているファンだとは思っていない」と呼びかけた。

 「ネットやSNSが現実社会じゃねえぞ、というところを伝えていきたい。もっと現実社会をちゃんと生きてほしい。批判だけじゃなく、賛否があることに熱が生まれると思うんですよ。感情で人は動くし、物語ができると思うので、そういうところをもっともっと伝えていきたいですね」

 敗戦から約3週間。天心は自らの言葉で、試合後の騒動に向き合った。

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