一戸建ての庭に「小屋」や「タイニーハウス(小さな家)」を設置して、趣味の部屋やDIYスペースとして余暇を楽しむ人々が増えているらしい。どのような仕様があるのか、価格はどれぐらいか。
キット価格が約250万円のミニログハウス
訪れたのは群馬県高崎市。ここにログハウスを自力で組み立てた人がいるという。
おお、予想以上に本格的だ(写真/片山貴博)
こちらは、ログハウスメーカー「株式会社ビックボックス」(本社・宇都宮市)が販売しているミニログハウスの「シエル(SIELU)」。ログ厚(ログハウスの壁に使用される木材の厚さ)が70mmのキット価格は約290万円だ。
同社営業部の青柳(あおやぎ)さんは言う。
「1986年に行われた法制度整備、丸太組構法技術基準告示を境に国内でのログハウス市場が成立しました(※)。弊社もこの年から住宅や別荘用のログハウスの輸入販売を開始しました。その後、ログハウス需要がさらに高まった、大きな転機となったのは2020年からのコロナ禍です。『密』を避けたキャンプ、グランピングなどへの関心が高まり、また、近年では貸別荘など企業様からの注文も増えています」(青柳さん)
以前は「山奥の別荘」が主流だったが、現在は「自宅の庭」への設置が非常に多いという。週末だけ過ごす「二拠点生活(デュアルライフ)」の拠点として、地方に建てる需要も根強いそうだ。
※告示をきっかけに、それまで個別許可が必要だったログハウスが、一般の住宅として建築可能になった
セルフビルドスクールに何度も通った末に自分で建てた
では、「シエル」を建てたNさんも、ログハウスに魅せられた一人。Nさんはどのように使っているのか。話を聞きに行った。
Nさん(70代)(写真/片山貴博)
仕事を定年した後は趣味につぎ込む時間が増えたという。
「もともとDIYが好きだったこともあり、趣味の多目的部屋が昔から欲しかったんですよ。セルフビルドスクールに何度も通った末に、基礎工事や外構も含めて全部自分でつくりました。工事の材料費は約220万円ぐらいですね。我々ログ仲間は“小屋”と呼んでいます」
ログハウスを建てたこの土地には、もともと土地の所有者である隣家の親が古い家に住んでいたという。しかし、空き家になって30年ぐらい。「買ってくれ」と言われて、昔から土地が欲しかったので購入した。兄の会社が建築業だったので、建物を壊して更地にするのも簡単だった。
2025年3月に栃木県内でBIGBOXが主催したミニログ「ロマーニ」のセルフビルドスクールの様子(画像提供/BIGBOX)
セルフビルドスクールの参加者層は20代^70代 の家族、夫婦、おひとり様など。上記の写真の回はいなかったが、子ども連れの参加者も多いという。
木材はフィンランド産で、購入すると、このような組み立てキットが届く(画像提供/BIGBOX)
選んだ決め手は形と広いウッドデッキなど
Nさんの“小屋”は2023年12月に着工し、2024年3月に完成した。工期は意外と短い。重機を使用せずに息子さんと2人で組み立てたため、棟木を上げる際にはロープで引き上げたという。
「ただ積み上げるだけじゃなくて、その間にダボ(木杭)を入れるんです。その打ち方はスクールで教えてもらいました。釘は使いません」
ログ壁、天井、床板全てに無垢の欧州赤松を使用している(写真/片山貴博)
BIGBOXのミニログハウスには6.0帖タイプの人気モデル「ロマーニ」、屋根のかかった広いデッキが特長の「ティッカ」、いろんな用途で使用できる「トゥーリー」など18モデルがある。価格は80万円から700万円ほど。
その中でもNさんが「シエル」を選んだ決め手はその形と広いウッドデッキ、ロフトなど。
余ったログの材料で階段をつくり、滑り止めはNさんが貼った(写真/片山貴博)
オーニング(日除け)は、インターネットで買ったものを取り付けた(写真/片山貴博)
「夏は暑いから窓を開けていたんですよ。そしたら、虫がバンバン入ってくる。これはダメだと思って、ホームセンターで買った材料で自作の網戸を取り付けました」
(写真/片山貴博)
開閉式の小窓がついたロフトもある
なお、ミニログハウスシリーズの中でロフトがあるのはこのタイプだけ。Nさんは天体望遠鏡も入れようかと思っていたが、サイズ的に難しかったそうだ。
ロフトの天窓からは、夜になると星が見える(写真/片山貴博)
屋根はログハウスキットに付属している「アスファルトシングル」を使用。急勾配の屋根の上で1枚ずつ屋根を貼る作業は1番苦労したという。標準ではついてない天窓もBIGBOXから購入して自分で取り付けた。
鉄骨を組んで足場をつくった(写真/片山貴博)
ここでカラオケを練習して近所のスナックで披露
「趣味の多目的部屋が昔から欲しかった」と言っていたNさん。その趣味とはカラオケとラジコン。
「家で夕飯を食べてから“小屋”に移動して晩酌です。2次会みたいな感じ。カラオケはここで練習して近所のカラオケスナックで披露します。歌うのは千昌夫、小林旭、鳥羽一郎、北島三郎とか演歌ばかり」
ビブラートを効かせて吉幾三の「雪国」を歌い上げる(写真/片山貴博)
ふだんはお酒を飲みながら歌うことが多い。
冷蔵庫に常備しておくのは低アルコールビールとノンアルチューハイ(写真/片山貴博)
車庫のラジコンスペースは手狭になっていた
そして、ラジコンとは飛行機、ヘリコプターなどの“空モン”。
Nさんが通う埼玉県の河川敷にある広いラジコン飛行場は彼が所属する高崎ヘリクラブが管理している(写真/片山貴博)
「車庫にも4畳半ぐらいのラジコンスペースがあったけど、手狭になっていたんですよ。今はスペースもたくさんあるので嬉しい」
白い機体は日本の自衛隊に一番数多く入っているというUH1(写真/片山貴博)
「最近の用途トレンドとしては、単なる小屋から実用的な多目的空間へと変化しています。ホームオフィス、仕事に集中するための独立した書斎、独特の木の質感を活かした小規模なショップ・カフェなどがあります」(青柳さん)
手洗いコーナーも完備したバーベキュースペース
「庭にはバーベキュースペースもつくりました。友だちに『呼んでくれ』と言われているけど、まだなかなか機会がありません」
手洗いコーナーも完備。水道管は残しておいたので、ホームセンターで買ってきたパイプを自分で溶接して家の水道管とつないだそうだ(写真/片山貴博)
デッキの隅には猫の餌が入った箱がある。
「これはうちで飼っているわけじゃなくて、いわゆる街猫のための餌です。近所で産まれたので裏の奥さんが世話をしてくれていますが、ここにもよく来るんです」
フリマで買ったりんご箱を改良してつくったもの(写真/片山貴博)
ミキサーや圧搾期はホームセンターで安く購入
作業用のガレージも見せてもらった。
プロ並みの作業道具と、これから使う木材を収納(写真/片山貴博)
「黄色いミキサーは電動でコンクリートをこねるやつ。ホームセンターで3万4000円ぐらいだったかな。隣の圧搾機は基礎用のコンクリートを打つ道具。
Nさんはバイク乗りでもある。
「車庫の中にバイク3台と車。ハーレー883とウルトラの3輪。空モン好きはバイカーが多いんですよ。こないだもラジコンクラブのメンバー5人で新潟へツーリングに行きました」
愛車のハーレー883(パパサン)(写真/片山貴博)
「趣味があるならミニログを建てるのはオススメですよ。10平米未満だから確認申請いらないし」と笑うNさん。なんというか、ひたすら羨ましいログライフだった。
※編集部注:防火・準防火地域外等での10平米以内の増改築なら建築確認申請不要。ただし、更地への新築や指定地域内は申請が必要
限られたスペースにも、車1台ぐらいの価格で建てられる
青柳さんによれば、庭に建てるハウスの用途は、自宅の離れ、趣味の小屋、子ども部屋、個人経営など小さなお店、雑貨店などが多いという。さらに、サウナキットも販売している。
ログハウスやサウナでの遊び方、無限の可能性がありそうだ(画像提供/BIGBOX)
筆者が今回の取材で感じたのは、Nさんが人生を本気で満喫しているということ。ミニログハウスなら広くないスペースにも、車1台ぐらいの価格で建てられる。
ミニログハウスについて語るときの生き生きとした表情も印象的だった。「あんまり遅くまでカラオケしてると、女房がコンコンとドアをノックする」と笑っていたNさん。男の隠れ家での時間、引き続き楽しんでください。
●取材協力
BIGBOX

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