今日は、農家の受粉活動における救世主について取り上げたいと思います。

まずはイチゴから。

イチゴの旬と言うと12月頃から春にかけてと言われていますが、旬が終わると受粉活動が始まります。ただ、全国のイチゴ農家が頭を悩ませているのが、「ミツバチ不足」です。

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気候変動や生態系の変化で、授粉に必要なミツバチが入手しにくい状況が続いています。

ミツバチに代わる「ビーフライ」

そんな中、ミツバチに代わる「新たな授粉の担い手」が注目されているのが、「ビーフライ」というハエを使った受粉方法なんです。まずは、どんな特徴があるのか・・・株式会社JAPAN MAGGOT COMPANYの佐藤卓也さんに伺いました。

株式会社JAPAN MAGGOT COMPANY・代表取締役 佐藤卓也さん

ハチのように受粉するハエということで「ビーフライ」と名付けました。ビーフライの餌が、花が出す蜜なので、その蜜を吸いに行くんです。その時に受粉をするという形になります。
ミツバチは紫外線を頼りに飛ぶので、例えば雨天とか曇天になったら紫外線が出なくなるので、なかなか巣箱から出てこなかったりするんですけども、ハエは関係ないので、雨天や曇天でも利用できるというメリットがありますね。あとはミツバチが大体活動温度帯が15℃から25℃ぐらいなんですけど、ビーフライの場合は10℃から35℃ぐらいまで活動できるので、ミツバチが活動しない温度帯でもビーフライは活動するというメリットがありますね。

ハエは刺さないし、ミツバチより活発に動いてくれるメリットもあるんですね!

ビーフライは「ヒロズキンバエ」という1センチ弱の小さい種類のハエ。ハエと聞くと少し抵抗があるかもしれませんが、実は農業現場では非常に優秀なんです!
活動できる温度帯が広い、雨や曇りの日でも活動できることに加えて、花を傷つけないメリットも。

花が傷つくと形が崩れた奇形果が増えてしまうんですが、ミツバチと違って体重が軽いので、花を傷つけず奇形果も少ないんだそうです。

ミツバチ不足に悩む農家を救う一手

形が崩れてしまった奇形果

また、ミツバチと併用して導入することも可能で、使い分けてうまく受粉活動を行うこともできそうです。

そうしたメリットもあり全国で500件以上の農家さんが導入していて、安全面から、お子さん連れの観光農園でも導入され始めています。

ただハエというと・・・イメージアップの課題も。
そこで、無菌的に管理、生産されたサナギの状態で出荷。外部に触れていないクリーンな状態で農家に導入するなどの工夫をされていました。

ビーフライと相性が良い植物は、イチゴやマンゴーなど。ただ、中にはビーフライが好まない植物もあるそうで・・・今後はハナアブなども研究対象に、授粉できる植物の種類を増やしていきたいということでした。

一方で、これからは虫(生き物)に頼らない方法も必要ですよね。
今年、徳島県でトマトの人工受粉の実験が行われました。どんな技術なのか、研究開発を行う、徳島県立農林水産総合技術支援センターの近藤颯人さんのお話です。

徳島県立農林水産総合技術支援センター・農産園芸研究課の近藤颯人さん

今回の試験機は、手押しの台車に送風バッテリーと送風の設備を載せただけの簡易的なものにはなるんですけども、送風口が花に向けて上下に動作するような試験機になっています。

横振り縦振りとかいろんな当て方をした中で、できるだけトマトの花を均一に揺らしてあげて、中にある花粉を柱頭にできるだけ付着させられるような風の当たり方ですね。縦振りが一番効率が良かったということで、9割以上の着果率を確認できましたので、工夫した点であるかなと思います。

風で花を揺らしてあげることがポイントなんですね!

今回はトマトでの実験で、花の特徴としては、一つの花に雄しべと雌しべがある「両性花」。風で揺らすことで花びらの中で雄しべと雌しべが触れて受粉する仕組みです。受粉成功率も高く、ひとつひとつ手作業で行うよりも、ミツバチを活用するよりもかなり効率的です。

そこで、同じく両性花のイチゴにも応用できるのはないか?と思い、これから改良したいポイントも含めて伺ってみました。

徳島県立農林水産総合技術支援センター・農産園芸研究課の近藤颯人さん

トマトは花の中で揺らすことである程度自分が可能なんですけど、イチゴに関しては、(トマトよりも)花粉がちょっと離れた位置から飛んでこないといけないというのもあって、風速もかなり必要になってきますし、風の当て方がより難しいかなと思います。
強い風速を発生させるってなると、それなりのエネルギーが必要にはなってくるので、その電力供給の部分であったり、自動走行、こういったところに課題が残っているかなとは思います。そこは改良の余地があるかなと思っています。

風を当てるだけと言っても、植物によって絶妙な「加減」が必要なんですね。

植物の特徴をとらえた当て方がポイント。
トマトは縦に花がつくので上下の風を当てていますが、イチゴはもっと複雑。

しかもトマトより強い風(風速15メートル以上)をピンポイントで当てる必要があるそうです。ただ、そうなると今度はバッテリー(電力供給)が課題に・・・

目指すはコードレスの自動走行。今後はバッテリーの改良を進めて人手不足の課題も解決していきたいとお話されていました。現在は試験段階ということで、早ければ来年~再来年あたりに商品化も視野に入れているということでした。

新たな生き物を活用したり、技術の開発だったり・・・
ミツバチに変わる授粉法は、少しずつ増えているようでした!今後の広がりにも期待できそうです。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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