TBSラジオ「ACTION」月~金曜日の15時30分から生放送。月曜パーソナリティは宮藤官九郎さん。
11月18日(月)のゲストコーナーは、宮藤さんに愚痴を聞いてもらう「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど…」。今回は現役看護師のミーコさん(女性・歴6年・脳神経外科)、シーヤンさん(女性・歴9年・ICU集中治療室)、カメダさん(女性・歴9年・脳神経外科、産科、耳鼻科)に仕事の愚痴を聞いていきます。
宮藤:カメダさんの脳神経外科、産科、耳鼻科って同じ領域なんですか?
カメダ:同じ病棟にいろんな科の人がいて。同じ部屋に脳神経外科の患者さんや産科さんもいらっしゃって。
宮藤:そうなると、脳神経外科の患者さんの治療してたら、隣から「生まれる~!」みたいな。と思ったら「耳が…」とかもあるんですか?カオスですね~。
カメダ:たまにそういうこともありますね(笑)
幸坂:ミーコさんの脳神経外科というのは、どんな患者さんがいらっしゃいますか?
ミーコ:脳梗塞、脳出血、脳卒中、くも膜下出血など脳神経に関わる疾患を抱えた患者さんがいらっしゃるところで、後遺症で麻痺が残って自分一人で動けない患者さんが多い場所ですね。
宮藤:なるほど。シーヤンさんはICUということですが、集中治療室ですよね。命の危険がある場所ですよね。
シーヤン:そうですね。結構具合の悪い人が入る場所ですね。
宮藤:テンパりますね。
シーヤン:緊張感のある場所ですね。
ミーコ:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、脳神経外科の担当の看護師って日常的に殴られるんです。
宮藤:え?ドクターに?(笑)
ミーコ:違います(笑)患者さんにですね。
宮藤:それはなんでですか?
ミーコ:脳障害の後遺症のせいでちょっと分からなくなって、暴力的になっちゃってる患者さんが多くて、殴られたり蹴られたりが日常になります。
宮藤:そういうときはどうしてるんですか?
ミーコ:「止めてくださいよ~」と笑いながら抑えたりするんですけど、あまりに続くと「あれ、なんで私、今殴られてるんだろう?」って思ったりとか。ふと我に返ってしまうことがありますね。
幸坂:強さはどれぐらいですか?
ミーコ:ご高齢の人が多い疾患ではあるんですけど、成人の人が50代、60代の人もいるので、男性とかだと強かったりしますね。2人がかりとか、他の先輩呼んで抑えてもらうとかありますね。
宮藤:顔もやられますか?
ミーコ:もう関係なくやられますね。
宮藤:「顔はやめときな」とかないですよね(笑)そういう気遣いもないですよね。
ミーコ:どんどん飛んできます。
幸坂:カメダさんも脳神経外科ご担当ですね。
カメダ:そうですね。同じく殴られる蹴られるは日常で。歯磨きも介助するんですが、そのときに指を噛まれたりとか。脳出血は若い人も多いので、そうなると女子1人じゃ対応できないので、警備の男性を呼んだりとかしますね。
宮藤:意識はしっかりしてるんですよね?
カメダ:脳疾患って判断能力がなくなっちゃったりするので。だからそのときは暴力的になって抑えが効かない状態になっているんですよね。
宮藤:大変ですね。
幸坂:あまりに興奮している患者さんには鎮静剤を打つこともあるんですよね。
カメダ:そうですね、どうしようもないときは。
宮藤:打たせてくれますか?
カメダ:無理やり抑えて、ブスっと行きますね。
宮藤:うわぁ、映画みたい。
幸坂:ミーコさんは看護師の夜勤が超大変ということですね。
ミーコ:そうですね。ほかの人から「患者さんって寝るから、夜勤ってやることなさそうだよね」と言われるんですけど、夜こそ寝ない人ばかりというか。認知症の患者さんが「帰りたい」と歩き回ったりしちゃって。またそういう患者さんがいると同室の患者さんから「うるさいです」とナースコールが鳴らされて、そっちの対応したりとか。
宮藤:ナースコールって「隣の患者がうるさいです」という理由で鳴らされることがあるんですね。迷惑ですね(笑)大変だね。山田太一さんの『ふぞろいの林檎たち』というドラマが大好きで。石原真理子さんと手塚理美さんが看護師の役なんですよ。そこに時任三郎さんとかが夜中、夜勤だからって会いに行くんですよ(笑)そういうことはないってことですね(笑)「今日はダメよ、準夜勤なんだから」って(笑)すごい好きなんだけど、そんな夢はないってわけね(笑)
カメダ:休憩中だと当直室に行く看護師もいますね。先生が一人いる当直室に。
宮藤:それ、俺が言ってる以上のことじゃん!何やってるのよ、その2人は…(笑)
シーヤン:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、ナースコールを無視する先輩がいます。
宮藤:最悪だ(笑)
幸坂:どういうことですか?
シーヤン:自分の担当の患者さんからナースコールが来ても、とにかく出ない。どしっと座ってる。全部私が出る、みたいな。
宮藤・幸坂:えぇ~!
シーヤン:夜勤でその先輩と2人でいると、自分だけがナースコールを取って、自分だけが走り回ってます。
宮藤:なんでその人は行かないんですか?面倒臭いのかな。
シーヤン:多分、働きたくない(笑)
幸坂:お局様的な?
シーヤン:立場は主任なので。役職があるからだと思うんですが。
宮藤:池谷のぶえさんがやる役だな(笑)
幸坂:えっ、その主任の人は禁止されてるネイルなどもきっちりやって職場に来るんですか?
宮藤:えっ、そのナースコール出ない人は結構先輩ですよね?
シーヤン:すごくきれいにしてくるんですよ。肌とか。
宮藤:ちょっと俺、イメージ違ったわ(笑)
シーヤン:ワンピースとか着て。
カメダ:プリッとしたね(笑)タイトめなワンピースのナース服を着てね。
シーヤン:ちょっとダウンスリーブみたいな(笑)
宮藤:ナース服が特注なの?
カメダ:そうですね。病院で支給されてるものもあるんですが、自分で買っても良いんですよ。それで結構ブランド物のナース服を買ったり、タイトめなきれいめのナース服を着ていたり。
シーヤン:色気のあるね。
宮藤:それはダメって誰も言わないんですか?
シーヤン:立場が上だからあまり言われないのかもしれないですね。
幸坂:情報によると、他の上司から「叶姉妹だと思って、諦めろ」とのことですが…?(笑)
宮藤:「美香さん、ナースコールが鳴ってますわよ」みたいなね(笑)
幸坂:喜ぶ患者さんもいそうっちゃいそうですが…。
宮藤:それ、セックスアピールですもんね(笑)女を出してるわけですもんね。おモテにはならないんですか?
シーヤン:そもそも患者さんの前には行かないので(笑)
宮藤:医者狙いなんですかね?
カメダ:もう何を狙ってるのか分からないですね。
宮藤:漠然と色っぽいのね。
幸坂:主治医が面倒臭いとやりにくいとのことですが、カメダさんどうですか?
カメダ:クセのある先生はすぐキレちゃって。カルテを投げちゃったり、椅子を蹴っちゃったり。
宮藤:先生がですか?
カメダ:そうです。
幸坂:板挟みですね~。
宮藤:これ、すごいですね。どこの病院でもあるんですか?
ミーコ:あります、あります。先生の性格なのか、自分の意見を上からバーっと言って、患者さんは患者さんの意見もあるのにそれを聞かずで。先生は怒って退出しちゃって、患者さんも怒っちゃって。結局、どっちの処理をするのも看護師になるので。どちらにも謝って、なだめてみたいな。
宮藤:患者さんからしたら、「腕良いかもしれないけど、あんな言い方ねえだろ」みたいなこともあるよね。
幸坂:情報によりますと、シーヤンさんとカメダさんの病院には、セクハラをしてくる患者さんがたくさんいると。
宮藤:もう、さっきから大丈夫か(笑)
幸坂:どういうセクハラですか?
シーヤン:1つの病室に6人患者さんがいて、カーテンで仕切られているんですけど。1人の患者さんの処置をしていると、カーテンの向こう側から隣の患者さんがお尻をペンペンと触ってきたり。
宮藤:それってシーヤンさんがいると分かって触ってるんですよね。カーテン越しだと、違う人だったりしません?(笑)隣のお見舞いに来たお母さんとか。恥ずかしいですよね、「違った…!」とか。あと、下のお世話もするんですね。
シーヤン:そうですね。術後だったり、寝たきりの患者さんはおむつもしてたりするので。こっちは仕事なので何も意識はしてないんですが、「俺は昔はもっと立派だったんだけどね」とか(笑)
宮藤:アハハッ!もうそれって、アダルトビデオ発なのか、リアル発なのかどっちなんでしょうね。
幸坂:シーヤンさんは病院を舞台にしたドラマの細かいところがいちいち気になるということですが。
シーヤン:とりあえず「私、失敗しないので」と言うお医者さんに会ったことはない(笑)
幸坂:あんな手術できる人って実際にいるんですか?
シーヤン:いろんな科の手術ができるオールマイティな先生はいないですね。基本的に科は決まってるので。
宮藤:大門未知子はしょうがないですね。ミニスカート履いて、ポケットに手を突っ込んで。あんな態度の悪いやつはいないですよね(笑)あと『ナースのお仕事』もそうですけど、コミカルに描かれがちですよね。
幸坂:注射器飛んできたり(笑)
宮藤:実際はどうですか?笑いは絶えない現場ですか?そんなわけないですよね(笑)
カメダ:でも、笑いはありますよ。コミカルではないかな。注射器飛ぶとか、患者さんに水をバシャとかはないです!
幸坂:ミーコさんは、眠れない患者さんととりとめのない話をすることがあり、そういった時間を共有した患者さんが亡くなられると辛いとのことです。
ミーコ:そういう人も眠れなくて夜、1人でロビーにいたり。見回りしてたらまだ起きていたり。そのときに「なにかありましたか?」と聞くと、いろいろ疾患のこと以外も話してくれて。それで仲が深まっちゃって、結果的に亡くなったときは辛いですね。
宮藤:患者さんが亡くなるというのは、看護師さんは教えとしてはどういう風に考えるんですか?いちいち悲しんでたら仕事が辛くなるじゃないですか。どうすることが正解ということもないと思いますが。人間なので感情はありますからね。下手したら家族よりも絆があったりすることもあると思うので。9年看護師をやっていても悲しいものですか?
カメダ:悲しいですけど、冷静でいなきゃいけないので、泣かないようにはします。家族より悲しんではいけないので。心の中では悲しいですが、冷静に見せるようにします。
宮藤:どうですか?
シーヤン:もちろん悲しいんですが、最後こそこちらも感謝の気持ちを込めて関わろうと。安らかに旅立たせようという気持ちを、悲しみより持つようにしますね。
宮藤:ミーコさんは?
ミーコ:正解はないと思いますが、亡くなるまでの過程を見て、絶対に忘れちゃいけないなと。それで一緒に関わったスタッフと振り返って、もう少しこうすれば良かったとか、ここは良かったとか、そういう話はしてます。
幸坂:最後にみなさんが業界や世間に訴えたいことを聞かせてください。まずはカメダさんお願いします。
カメダ:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、病院で働いているみなさんがもっとコミュニケーションを取ったほうがいいと思います。
宮藤:なるほど。看護師同士、お医者さん含め。
カメダ:そこに最近は介護士さんが加わってきて。介護士さんに雑用をどうしても頼んじゃうときがあって。そこでもちゃんとコミュニケーションを取り合って、お互い不満が出ないようにしなきゃいけないなと思いますね。
宮藤:この間、介護士さんがゲストで来られてね。病院にお勤めしてる人もいましたが。できることが限られてるから、その距離感が分からないと言ってましたね。コミュニケーションは確かに大事かもしれませんね。
幸坂:ミーコさんお願いします。
ミーコ:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、現場で真面目な人がバカを見る環境になっています。さっきシーヤンさんのナースコールを取らない人がいる話もそうですが、同じ時間働いていても業務的にやっている分量が全然違うと思うので。ナースコール1回取ったら何点みたいな。で、何点溜まったら給料アップみたいな。
幸坂:シーヤンさんも、お願いします。
シーヤン:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、業務に応じて給料を増やしてほしいです。真面目に働いている人が損をしないように。
宮藤:でも、僕は入院した経験があって、病院もよく行くからですけど、親切な看護師さんって患者は分かりますよ。バカを見ているとは限らないですよ。「あいつ、またナースコール取ってないよ」って分かると思いますよ。
まだまだ実際はたくさんお話した…看護師の皆さんの愚痴、でした。
◆11月18日放送分より 番組名:「ACTION」
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