今日は、大規模な災害が起きた際の、他の自治体の支援についてのお話。

大規模災害の時の支援に関しては、国の方で、「応急対策職員派遣制度」という制度があり、全国の地方公共団体が被災地を支援するという仕組みになっています。

それに従って、現在も、多くの自治体が職員を派遣し、支援を続けているのですが、今日は、その中でも徳島県に注目しました。

元日の発災20分後には職員が集まって協議

では、実際に徳島県の職員は、今回の能登半島地震が起きた時、どう動いたのか。徳島県危機管理政策課の課長、飯田政義さんに聞きました。

徳島県危機管理政策課長 飯田政義さん
「一月一日の発災の翌日二日に、石川県庁の方へ、リエゾンという現地での情報収集を行う職員を二名派遣をいたしまして、その後四日に徳島県は輪島市を支援するんだと決まってからは、五日以降輪島市の方へ支援に入っていると。

そうですね、やっぱり一日の午後4時過ぎに震災の速報を見て、すぐに職員10名程度が参集をいたしまして、対応を協議した結果、二日にリエゾンを送るという決断に至っております。やっぱり被災したところは対応でいっぱいいっぱいですので、そこで何が起こってどういう物が必要かっていうのは、我々が汲み取って行うべきというところでありますので、送らせていただいたと。

集まった職員はもちろんですけれども、それ以外にも、県庁全体ですね3000人が一丸となって今、支援しているといった状況です。」

地震発生の20分後にはもう集まっていました。

被害状況が伝わってこないのは事態の深刻さの裏返しと考えて、情報を集める職員が必要と判断し派遣を決めました。

その後、輪島市の門前地区で避難所の支援を行い、現在は輪島市役所門前支所で罹災証明書の発行などに携わっていますが、一週間交代で、常時十数人ほどの規模での支援を続けています。

それにしても初動も素早いし、その後の支援体制も整っているように感じますよね。これは、日ごろからの徳島県の備えによるものなのです。

実は総務省が、被災地での災害対応を指揮する管理職の応援職員として登録をする、「災害マネジメント総括支援員制度」というものがあるのですが、そこに登録している職員は、徳島県が全国で一番多いんです。しかも同様の登録制度が、県独自でもあり、県の職員と市町村の職員とが一緒に研修を受けて、災害対応や災害マネジメントに長けた職員を増やす努力をしているのです。

支援は人のためならず、でもある

徳島県がこういった災害の支援に力を入れている背景について、再び飯田さんのお話。

徳島県危機管理政策課長 飯田政義さん
「徳島県としましては南海トラフ巨大地震というものが、もう目前に迫っているという認識でありますので、そうした意味からも被災地を支援するということは意味があることだと思っております。

徳島県の方では今ですね、今回のこの支援を通じまして得た教訓をもとにして、発災時に道路を通れる状態にするためのワーキンググループ、それから断水の対策、停電対策、それと通信途絶対策、このライフライン、インフラ、そうしたところの発災時を見据えた取り組みを、今ふたたび検証を進めているところでございます。

特に、今回の能登半島地震は、奥能登に入って行く大きな幹線道路が寸断したことで、色んなものが遅れたのではないかという風なことも言われているところでございますし、徳島県の方でもやはり、県の南の方へ進む道っていうのは、幹線道路が、一本とは言いませんけれども、大きな一本になりますので、そこが寸断されたときにどうするのか、っていうのをしっかりと認識して対策する必要があるんだという、今、気持ちでおります。」

南海トラフ巨大地震が目前だという意識が高いので、被災地はまさに自分たちの姿でもあるわけです。だからこそ平時から体制を整えており、素早く支援に動けるわけです。そして、そこで得た教訓を自分たちの備えにも活かしていきたい、ということでもあるわけです。

災害の備えは、最後の最後のつめが大事!

ちなみに、今回の支援を通じて、飯田さんが現場で一番痛感したのが、情報のやり取りの難しさ。

電話が通じない中、活躍したのがLINEだったそうで、避難所同士や、避難所から徳島県への連絡もLINEを使いました。

人手が足りなくて避難所に情報が送れない中、輪島市はLINEを使って情報発信をしており、これが非常に有効な通信手段だと実感した徳島県は、2月の議会で、備えられるものは備えようということで、スターリングという衛星を経由して通信を可能にする機器を導入することを決めました。

これで、いざという時にLINEが使えるようになりますねと言うと、飯田さんは、備えは最後の最後、使うことを考えて備えることが大事で、そこまでしないと備えにならないと言います。

実は、LINEでの情報発信に足りなかった最後の備えは、これでした。

徳島県危機管理政策課長 飯田政義さん
「 逆にね、なってなかった実態がありまして、その(LINEの)お友だちにですね。なので、避難所において、ブルーシートってどうやって入手したらいいんだろうっていうことが情報として避難所の方に入って来なくて、で、実は輪島市さんとしては、市の公式アカウントでそういうのを発信していたっていうのが、後になって分かりまして、実際には物資が何時からどこで配布されますとか、お風呂がどこで入れますとか、給水が何時からここで行います、こういった情報を毎日流してたっていうことですので、市民県民のみなさんが事前にそういうのに登録しておくっていうのが、非常に大事だなと思いました。

実はあの、徳島県でも公式アカウント持っておりまして、発災の際にはそうした使い方したいと思ってるんですけれども、昨年末の段階で登録者数は12800人で、現在が約その3倍の36000人になっておりまして、やはりこの能登半島地震を契機として、県としてもしっかりPRさせて頂いた結果として、今増えているといった状況でございます。」

LINEはお友だちになって初めてメッセージを読むことができますよね。つまり、お友だちになっていなければ、いくら毎日情報が発信されていても読めません。衛星の通信機器を導入しても、最後のツメが甘ければ意味をなさないんです。

徳島県は能登半島地震の後、周知活動を頑張って、徳島県庁とお友だちになっている人は、昨年末の3倍に増えました。でも、人口は71万8879人(2023年の数字)。

本当の意味で充分に備えるというのは、本当に地道な本当に大変なことなんだな、と実感しました。

みなさんは、お住いの自治体とつながっていますか??