番組から生まれた『はい!論破』は昨年の流行語大賞にノミネートさています。
“イヤミ課長”役で実力派俳優から子供の人気者になった!?木下ほうかさんこの番組は視聴者からの投稿で、身の回りで起こった、イラっとした出来事、ムカっとした人物を再現VTRにして紹介。VTRの最後にそのキャラクターに罰が当たる姿を観て、スタジオのパネラーとともに視聴者がスカッとするという番組です。
番組内で一番人気の悪役キャラが、木下さん演じる“イヤミ課長”こと馬場課長。部下たちに自分を持ち上げることを徹底的に求め、手柄は全部自分が独り占め。もし何か口答えをするようなそぶりが見えるや否や徹底的なイヤミで口撃し、最後の決めゼリフは「はい!論破」。
そんな上司サラリーマンの嫌な部分を凝縮したような馬場課長を演じる木下さんは、1980年に井筒和幸監督の映画『ガキ帝国』でデビューしたベテラン俳優。デビュー当時には吉本新喜劇に所属していたこともあるという、異色な経歴の持ち主です。近年は人気連続ドラマでの嫌味なキャラクターで注目度上昇中でしたが、この“イヤミ課長”役で子どもたちにも人気が広がりました。また木下さんは、毎回番組の最後に“はい!論破じゃんけん”で出演。こちらも人気です。
“超ぶりっ子”キャラを極めて再注目される小林麻耶さん木下さんと双璧をなす看板キャラクターが、超ぶりっ子OLを演じる小林麻耶さん(36)。
最近の小林さんは『ブリカマぶるーす』というCDを出し、華美なアイドル衣装で歌うなど、“ぶりっ子イメージ”を開き直って楽しんでいるようにすら思えます。同じく、ぶりっ子キャラでは、友人の彼氏を欲しがったり、合コンで姑息な手段でターゲットに近づく“りなっしー”こと、ぶりっ子大学生を演じる中村静香さん(27)も注目度上昇中です。
津田寛治さんらベテラン役者の新たな魅力が開花日常生活で身の回りにいそうな“嫌な男”をとりあげるショートコーナーに登場する津田寛治さん(50)。カンに触る物言い、言動を演じる様が絶妙です。そんな津田さん、数多くのドラマ、映画に出演するベテラン俳優。1993年に北野武監督作品『ソナチネ』で俳優デビューし、その後も『キッズ・リターン』など数多くの北野作品に出演していますが、最初に『ソナチネ』に出演したきっかけが、アルバイト先の喫茶店に来た武さんに自ら売り込んだことというのは有名な話です。
飲食店やスーパーでがめつい振る舞いやクレームを連発する“ケチケチ母ちゃん”を演じる宍戸美和公さん(50)。見ているだけムカムカさせる言動が話題ですが、実は宮藤官九郎さんや阿部サダヲさんらが所属する劇団「大人計画」に所属する個性派女優。ドラマや映画にも多数出演しています。
番組で人気の個性派キャラは、ベテランだけではありません。
若手女優&俳優のブレイクの登竜門!?このような笑えるコーナー、濃いキャラクターに混じり、心洗われるような10代の淡い恋愛エピソードを再現する“胸キュンスカッと”のコーナーでは、今後のブレイク期待大のフレッシュな女優や俳優、アイドルが毎回登場。これまで、NHK朝ドラ『まれ』で注目された清水富美加さん、月9ドラマ“いつ恋”に出演した森川葵さんをはじめ、葵わかなさん、高杉真宙さん、岡本夏美さんら若手注目株も出演経験があり、このコーナーに出演させたいという、若手女優・俳優のマネージャーが後を絶たないといいます。
“スカッとジャパン”は再現VTR出演者のステータスを上げた!?再現VTRといえば、『行列のできる法律相談所』『踊る!さんま御殿!!』などの番組で、スタジオでのトークの元になるVTRに出演するのは、通常無名の役者やエキストラでした。ところが、“スカッとジャパン”では、ドラマや映画で実績のある人気俳優が続々出演します。上記のほかにも、竹中直人さん、竹内力さん、ジュディ・オングさん、山村紅葉さんなど錚々たる大御所の面々もズラリ。
この番組が注目されたことで、再現VTRに実績のあるキャストが出演する機会も増えるかもしれません。そのことで再現VTRのステータスが以前よりアップするでしょう。
バラエティ色の強い番組の再現VTRに出ることは、実績のあるベテラン俳優にとっては、ドラマや映画では見せないキャラやコミカルな面を見せることで新たなファンを獲得し、お茶の間レベルで知名度を上げるチャンスとなる一方、新人女優や俳優、タレントにとってブレイクするきっかけの新たな場が増えることになります。また、中堅俳優でひところに比べて露出が減っている俳優、女優の“再生工場”的な形で機能することも考えられます。
文/田中裕幸