9月7日の13時45分頃、英ウェールズのカーディフで、ヴァーナさん(58歳)とリンダさん(56歳)という娘2人と一緒に銀行へ行くため電動車椅子でシティーサンターを訪れていたベロニカ・ルイスさん(78歳)。だが舗道に乗り上げようとした際にバランスを崩して、電動車椅子ごと倒れてしまった。
娘2人は母親を起き上がらせようとしたが、痛みを訴えたためどこか怪我をしたのかも知れないと救急車を呼んだ。事故を目撃した通行人らは、雨降る冷たい中で身動きできずに横たわったままのベロニカさんが濡れて冷えないようにと枕や毛布などを敷いたり、コートをかけるなどして気遣った。
ところがいくら待てども救急車は来ず、ヴァーナさんとリンダさんは4回も「The Welsh Ambulance Service」に電話をし救急車の要請をした。
この間、ベロニカさんの具合を「Clinical Contact Centre(クリニカル・コンタクト・センター)」の救急スタッフが電話口でチェックしており、一刻を争う事態でないと判断したのだろう。しかし3時間以上も待たされたことについてリンダさんは「こんな状態で高齢者を何時間も放っておくなんて、いくらなんでも許し難いことです。母はインシュリン投与が必要な糖尿病を抱えていて、他にも健康面で問題がありますから」と不快感を露わにした。「The Welsh Ambulance Service」は到着が遅れた理由を「連絡を受けた時間帯は、多くの救急車の要請があった」と述べたが、長時間待たせてしまったことを謝罪した。
このニュースを知った人々からは「救急車を待っているとはいえ、そんなに長い間なぜ濡れた道路に放りっぱなしにしておくのか」という疑問が寄せられた。
現在のベロニカさんは、病院でレントゲン検査やその他の検査待ちだという。リンダさんは、立ち止まり母親を思いやる行動をしてくれた通行人たちに感謝の気持ちを述べている。
イギリスでは今年4月にも、息子の怪我が酷く救急車を要請した母親が「金曜の夜だから」と拒否されるという出来事が起こった。重傷患者が優先になるとはいえ、救急車や救急隊員の絶対数が足りないというのはイギリスが抱える大きな課題であると言えよう。
画像は『WalesOnline 2017年9月8日付「Elderly woman left lying in the street for three hours in the rain waiting for an ambulance」(Image: South Wales Echo)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)