全豪オープンも佳境を迎え、地元オーストラリアのニック・キリオスとタナシ・コキナキスは男子ダブルス決勝進出を決めている。今大会、快進撃を続けている一方で、対戦相手からの批判も出ている。
【動画】「おもしろいダブルスをする」キリオス&コキナキスの準決勝ハイライト
2013年にウィンブルドンジュニアを制したこの二人は、今大会4組のシードを撃破。ワイルドカード(主催者推薦)での出場にもかかわらず、決勝進出を果たした。
だが、その一方で試合中の振る舞いに批判を受けたのも事実だ。ポイントを奪って観客を煽るポーズをしたり、ファーストサーブとセカンドサーブの間に声を上げた、最低限のマナーを守らない観客に向かって中指を立てたりもした。その他にも、彼らと2回戦で対戦した第1シードのコーチから因縁をつけられ、試合終了後に一触即発の事態に発展。さらに、準々決勝で対戦したマイケル・ビーナス(ニュージーランド/ダブルス世界ランク15位)は、キリオスの振る舞いを「嫌な奴」「成熟度は10歳の子供のようだ」とテニスの伝統的な部分を重んじないことを批判された。
これにコキナキスは異議を唱える。「僕らは相手を軽視しようとしているわけではない。相手が個人的に受け取ることもある。第1シードのクロアチア人と対戦した時もそうだった。僕らはただ観客をさらに盛り上げようとしているだけなのに、自分たちに向けてやっていると受け取ってしまう人もいるんだ」と、あくまで試合を盛り上げるためにやったことだと主張。
さらに、キリオスはテニスの発展という意味で、自分たちの行動は必要なことだとする。
「全豪オープンはテニスというスポーツにとって、より多くの注目を集め、多くの視聴者が必要だと思う。僕の目標は、テニスを見ていないような新しいファンに見てもらうこと。もし僕とタナシ(コキナキス)がおもしろいダブルスをしていたら、次の機会にもチャンネルを合わせてくれるだろう。それが僕らの目的で、実現したいことなんだ。そして、それがこのスポーツが生き残る方法だと思う」と勝敗以前に、ショーとしてのテニスを見せてファンを増やしたいという意志があるとした。
実際、準決勝はセンターコート、ロッド・レーバー・アリーナで行われ、彼らの試合を観戦に多くの人々が訪れ、試合は大いに盛り上がった。
「今日の試合はバランスが取れていて、テニスの質も素晴らしかった。お祭りのような雰囲気もあったし、彼ら(ゼバロスとグラノイェルス)はそれを受け入れていた。信じられないような雰囲気であることがわかっていたんだろう。ゼバロスは、僕らが外に出る前に一緒に自撮りをしてくれた。それが雰囲気を受け入れるということだ。
自分たちがプレーを楽しみ、そして観客にも楽しんで「高いお金を払った価値があった」と思ってもらえるよう“勝利は2番目の優先事項”だとするキリオスとコキナキス。決勝の相手は、こちらもオーストラリアのマシュー・エブデン(同55位)とマックス・パーセル(同34位)のペアと、なんと約41年ぶりのオージー対決になった。最高の雰囲気、最高の相手とともに試合は盛り上がるに違いない。試合は1月29日ナイトセッションの第2試合、女子シングルス決勝後に行われる。
■全豪オープン2022
日程/2022年1月17日(月)~30日(日)
開催地/オーストラリア・メルボルン:メルボルンパーク
賞金総額/7,500万豪ドル(約62.7億円)
男女シングルス優勝賞金/287.5万豪ドル(約2.3億円)
サーフェス/ハード
試合球/「ダンロップオーストラリアンオープン」
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