鷲見玲奈がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ALFALINK presents BRAND NEW LINK」(毎週土曜 7:00~7:25)。ひとつの成功に満足することなく、新たな分野へと越境し挑戦を続ける人。
既存の枠にとらわれず、業界に新しい潮流を持ち込み、ゲームチェンジを起こしてきた企業。そうした方々をゲストに迎え、挑戦にまつわるエピソードや発想の原点、そしてこれから目指すヴィジョンについて伺っていきます。

5月9日(土)の放送は、先週に引き続き株式会社KASASAGI 代表取締役社長の塚原龍雲(つかはら・りゅううん)さんをゲストに迎え、“坊主経営者”となった経緯、現在注力している事業について話を伺いました。

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(左から)パーソナリティの鷲見玲奈、株式会社KASASAGI 代表取締役社長 塚原龍雲さん



◆偶然の積み重ねから“坊主経営者”の道へ

KASASAGIは、日本の伝統工芸に新たな価値を見出し、世界へ発信するブランドです。2020年に創業した同社を率いるのは、2000年生まれの若き経営者、塚原龍雲さんです。創業からわずか数年で、フォーブス・ジャパンが選ぶ「世界を動かす文化起業家」にも名を連ね、いま大きな注目を集めています。

番組では、KASASAGIの活動に加え、塚原さん自身のユニークな経歴にも話題が及びました。現在の「龍雲」という名前は、インド仏教最高指導者である佐々井秀嶺さんから授かった僧名です。塚原さんはKASASAGIの創業から1年後の2021年、日本各地の職人や工房を訪ね歩きながら事業を広げていた時期に、インド仏教の僧侶として出家したといいます。

そのきっかけは、実業家であり兄弟子でもある小野龍光さんの存在でした。「日本のスタートアップ、ベンチャー企業家のなかでスター的な存在の方です。ジモティーをつくって上場させ、17LIVEのグローバルCEOになった方です」と塚原さんは説明します。
「どんな人物に師事したのか知りたい」と興味を持った塚原さんはインドを訪問。10日間にわたり、佐々井秀嶺さんのもとで学ぶ予定だったと振り返ります。

ところが滞在4日目、師匠から突然「袈裟を着てみたいか?」と声をかけられます。塚原さんは「浅草でレンタル着物を着るような感覚」で「ぜひ!」とお願いしたそうですが、翌朝になると「着いたらすぐ得度式するから」と告げられます。得度が出家を意味する言葉だと把握したものの、現地にはすでに式の会場が用意され、多くの人が集まっていたといいます。

さらに当日は、偶然にもテレビ番組「世界ふしぎ発見!」(TBS系列)の撮影クルーが同行。塚原さんは「断れなくなっちゃいました」と苦笑いを浮かべます。鷲見から「流れに身を任せた結果ですね」と声をかけられると、「ちょっと身を任せすぎましたね」と笑いながら振り返ります。

一方で、出家後は寺へこもって厳しい修行をしていたわけではないといいます。塚原さんによれば、現在のインド仏教では「目の前の人の役に立つこと」を何より大切にしています。雨漏りの修理や日常の困りごとなど、僧侶が人々を助け、そのお礼として食事をご馳走になる。そんな“民衆に命を預ける”文化が根付いていると話します。


その教えは、経営スタイルにも大きな影響を与えているそうです。塚原さんは、自身を「坊主経営者」と表現し、「贅沢をするためではなく、いかに職人さんたちと美しいものをつくれるかに挑戦している」と紹介しました。

「世界ふしぎ発見!」のカメラが回る前で「断れなくなっちゃいました」“坊主経営者”塚原龍雲がインドで“僧侶”になった驚きの理由

パーソナリティの鷲見玲奈



◆職人起点でビジネスを展開する理由

KASASAGIでは現在、ホテルやオフィス、住宅などの内装・建材に、職人の技術を取り入れた空間プロデュース事業を展開しています。

この事業が生まれた背景について、塚原さんは「かなりの紆余曲折がありました」と明かします。きっかけは、不動産会社やデベロッパーとの仕事でした。オリジナルの工芸作品を見たクライアントから、「施設にアート作品として取り入れるのはどうか」と声をかけられたことから、空間への導入がスタートしました。

当初は、伝統工芸作品を施設内に展示するギャラリー的な立ち位置で関わっていたといいます。しかし、作品が大型化するにつれ、壁への固定や補強材の設置など、建築側の知識が必要となり、建築との関わり方も深くなっていきました。そして、実際の現場において、アート作品を搬入するタイミングは施設竣工の直前。現場がもっとも緊張感に包まれている時期になってしまいます。「これではお客さんにも現場にも迷惑をかけてしまう」と感じた塚原さんは、課題解決のために、自社で図面を書き、施工まで担える体制づくりを目指すようになりました。

その後、一級建築士事務所の登録や建設業許可を取得。
設計施工を自社でおこなえるようになったことで、単なるアート制作にとどまらず、空間・建物全体をデザインしていく方向へと事業が広がっていったといいます。鷲見も「アートを飾る際に生まれた問題から、自分でやることを決められたんですね」と、その行動力に驚いていました。

また塚原さんは、KASASAGIのものづくりにおいて、「消費者だけではなく、職人さん起点で考えている」と語ります。消費の裏側には必ず生産があり、その両方を見つめることが重要だと強調します。「ぱっと見の美しさや面白さも大切。でもその背景には、倫理的な生産・消費のあり方があると思います」と話し、職人たちが誇りを持ってものづくりに向き合える環境を重視していると力を込めました。

<番組概要>
番組名:ALFALINK presents BRAND NEW LINK
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25(TOKYO FM / FM大阪)
パーソナリティ:鷲見玲奈
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/brand_new_link/
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