2008年から始まったふるさと納税は、いまやおトクな制度の代表ともいえる存在になりました。
年末の近づくこの時期になると、駆け込みでふるさと納税を利用する方も多いのではないでしょうか。
今年=2021年からデビューしたいと考えている方も、11月下旬からならば、ふるさと納税利用は十分間に合います。
そこで今回は、ふるさと納税の基本と、面倒な確定申告を省略できる「ワンストップ特例制度」について解説します。
■ふるさと納税の仕組みとは?
ふるさと納税は、もともと支払うべき所得税や住民税を「自分で選んだ自治体に寄附する」形で納税できる制度です。
ふるさと納税をすると、寄附をした金額から自己負担額2000円を引いた全額が寄附金控除の対象となります。
翌年の住民税額は今年度の収入で決まりますので、将来支払うことが決まっている住民税を前払いするかわりに返礼品を受け取ることができるという仕組みです。
ふるさと納税は、自治体ごとの魅力的な特産品を受け取りながら納税できるため、ただ税金を払うよりもおトクだと人気を博しているのです。
ただし、人気の返礼品は売り切れてしまうことも多いため、お目当ての返礼品がある場合は早めの寄附がおすすめです。
また、ふるさと納税で寄附金控除をうけるには、寄附したことを証明するため確定申告するのが原則です。
確定申告は慣れていない方にはハードルが高く、「確定申告」と聞いただけでふるさと納税への興味をなくしてしまう方もいるかもしれません。
そんな方に是非おすすめしたいのが、「ワンストップ特例制度」です。
■ワンストップ特例制度はどういう制度?
ワンストップ特例制度は、確定申告をしなくてもふるさと納税の寄附金控除をうけられる便利な特例制度です。
ワンストップ特例制度は、「確定申告が必要ない給与所得者」「1年間で寄附をした自治体が5団体まで」などが条件です。
ただし、下記に該当する場合は給与所得者であってもワンストップ特例制度は使えませんので注意しましょう。
また、ワンストップ特例の申請書を提出後、寄附をした年の翌年1月1日までに名前・住所など、電話番号以外の個人情報に変更があった場合は、「申請事項変更届出書」を寄附先の自治体に提出しなければいけません。
年内に引っ越す予定がある・結婚する予定があるという方は、それらのイベントが終わってからふるさと納税をするのがお勧めです。
■ワンストップ特例制度の手続きと注意点
ワンストップ特例制度は、寄附をしたあとに自治体から送られてくる「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を記入し、所定の本人確認書類のコピーとあわせて自治体に送り返すだけで完了です。
いくつかの自治体に寄附をしている場合は、それぞれの自治体に書類を提出する必要があります。返送漏れがないように注意しましょう。
ふるさと納税は毎年、1月1日~12月31日までに寄附を完了したものが対象となるため、年の瀬ギリギリでも寄附できます。
ただし、ワンストップ特例制度は寄附をしたあと、翌年1月10日までに「不備のない返送書類が自治体に届いている」ことが適用条件です。
もし、申請期限をすぎた場合は確定申告が必要になってしまいます。
年末ギリギリの納税になると、ワンストップ特例制度適用のためには、年明けすぐに書類を送る必要があり、かなりタイトなスケジュールになってしまいます。
年末年始をゆっくりむかえられるよう、余裕をもってふるさと納税をしておく事をおすすめします。
■ふるさと納税の寄付金控除の確認方法
ふるさと納税の寄附金控除が適用されているかどうかは、住民税決定通知書で確認できます。
住民税決定通知書は、毎年5~6月頃になると「給与所得者の場合は勤務先」から、「給与所得者以外の場合は自宅に郵送」で届きます。必ず目を通すようにしましょう。
確定申告とワンストップ特例制度、どちらの方法で手続きをしても、住民税決定通知書の税額控除額欄(または摘要欄)に寄付金控除額が記載されています。
「寄付金-2000円」の金額になっていれば、想定通り適用されていることになります。
万が一、確定申告やワンストップ特例制度を申請したにもかかわらず、税額控除額が適用されていない場合は税金の二重払いになってしまいます。そのような事があったら、すぐに居住地の税務署に確認してください。
■参考資料
- 総務省「ふるさと納税ポータルサイト」( https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/procedure.html )
- ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」( https://www.furusato-tax.jp/about/onestop )