普段何気なく会話をしていると、思わぬ言葉が相手に通じないという場面があります。「実は方言だった」ということを知らないという方も、意外に多いのではないでしょうか。
今回は上京しても方言を使うことが多いとされる「関西弁」にフォーカスをあて、「実は全国共通語じゃない」言葉についてご紹介します。
関西と言っても対象地域が広いため、すべてにあてはまるわけではありません。また、関西以外でも西日本や九州などで広く使われる言葉も含まれます。まずは食べ物編から見ていきましょう。
■【実は関西弁】食べ物の呼び方編
関西から関東など別の地域に行くと、食べ物での文化の違いに驚きます。関西に仕事や旅行で来る方も、戸惑うことが多いのが食べ物です。
■かやくごはん
かやくごはん(かやくめし)とは、炊き込みご飯のことです。混ぜご飯や五目ごはんの意味が含まれることもあります。
広辞苑には「加薬飯」として「五目飯のこと。」という説明があります。「火薬」の意味として「(主材料に加える意で「加役」とも書く)炊込み御飯・うどんなどに入れる肉・野菜などの具のこと。主に関西でいう。」との記載も。
関東方面では「かやくごはん」の意味そのものは知っていても、口にするのは「炊き込みご飯」という方も多いかもしれませんね。
■かしわ
かしわとは「鶏肉」のこと。関西には看板に「かしわ」と掲げている店も多く、鶏肉をかしわと呼ぶ関西人も多いです。
また地域によっては、鶏肉の中でも上等の部位だけを「かしわ」と呼ぶことがあるようです。
■おかいさん
関西では「お粥」のことを「おかいさん」と呼ぶことがあります。食べ物や店名に「さん」をつけるのは関西独特の文化なのかもしれません。
一部では「御所ことば」が影響しているという説もあるようですが、「さん」をつける言葉、つけない言葉の違いは関西ネイティブでもうまく説明できません。
全員ではないですが、多くの関西人は「おまめさん(豆)」「おいもさん(芋)」「おいなりさん(いなり寿司、稲荷神社)」「お揚げさん(油揚げ)」「えべっさん(恵比寿神社)」と呼ぶものです。
しかし、例えば雑炊では「雑炊さん」と言わないのが不思議ですね。
■でっちようかん

画像出典:農林水産省「丁稚ようかん 大阪府」
ようかんと言えば「でっちようかん」を思い浮かべる関西人も多いのでは。農林水産省によると、でっちようかんは北摂地域が中心となって伝承されているようです。
寒天とこしあんで作られたでっちようかんは、甘さ控えめでおいしいですよね。しかし、関東ではあまり馴染みがありません。
■菊菜
春菊のことを、関西圏では「菊菜(きくな)」と呼びます。関西ですき焼きを作るなら、牛肉を焼いてから砂糖と醤油で煮て、菊菜を入れるのが一般的です。関東のすきやきは割り下を使うので、このあたりも関西との違いの一つですね。
■【実は関西弁】身体編
身体の状態を指す言葉でも、関西弁と誤解しがちな表現があります。
■さぶいぼ
さぶいぼとは鳥肌のこと。寒い時にも感動したときにも、鳥肌と同じニュアンスで「さぶいぼたった!」と言います。
「寒イボ」と書けばその意味がよく伝わるのではないでしょうか。
■めばちこ
「ものもらい」のことを、関西では「めばちこ」と言います。他にも「目イボ」と表現する地域もあります。
これからの季節はプールなどでものもらいになってしまうリスクも増えるので、注意したいですね。
■みぃいる
漢字では「身ぃ入る」と表現します。「みぃはいる」とも言いますね。
関西を中心に他の地域でも日常的に使われるところがありますが、関東では言葉自体を知らないという方もいます。
■蚊に噛まれる
蚊に刺されることを、関西では「蚊に噛まれる」と言います。実際には噛まれていないのですが、関西の表現は面白いですね。
■【関西弁あるある】店名編
全国チェーンや有名施設でも、呼び名が関西では独特のケースがあります。こちらは「実は関西弁」というわけではなく、昔からの関西弁あるあるですね。
■マクド
言わずと知れたマクドナルドの呼び方です。これまでさまざまな論争がありましたが、やはり関西人は「マック」と呼べません。
でも「朝マック」と言えるのは不思議ポイントです。
■ユニバ
関西ではユニバーサル・スタジオ・ジャパンのことを「ユニバ」と略すことが多いです。「USJ」ももちろん意味は通じますが、口に出すなら「ユニバ」が多い印象です。
■セブイレ
全国では「セブン」と言うことの多い「セブンイレブン」ですが、関西では「セブイレ」が多いです。
ちなみに「ファミリーマート」は全国的に「ファミマ」ですが、イントネーションが全く異なります。関西では「ミ」にアクセントをおいて高くなるイメージですが、関東では3音とも同じ高さに。
関西人にはなかなか真似のできないイントネーションです。
■他にもいろいろ!関西人が「全国共通語」と誤解しがちな言葉
コテコテの関西人が「全国共通語」と誤解しがちな言葉は他にもあります。
今回紹介しきれなかった分は【写真】にまとめてありますので、ぜひご覧ください。

LIMO編集部作成
関西弁だと知らずにびっくりする方も多いのではないでしょうか。関西以外の方は、「どんな意味?」と考えるのも楽しいですね。
関西弁に限らず、全国の方言は奥が深くておもしろいものです。
■参考資料
- 農林水産省「丁稚ようかん 大阪府」( https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/39_18_osaka.html )