日経平均株価が急騰する中、J-REITは、長期金利上昇を嫌気して値下がりしています。しかし、価格低下に伴い平均利回りは5.2%まで上昇しました。
今日のクイズ
国内の不動産投資信託(J-REIT)は、株式に近い性質を持った投資商品です。東京証券取引所に上場していて、株と同じように取引所が開いている時間に売買できます。
6月2日時点で分配金利回りが5.2%と高いことが魅力です。利回りを重視する投資家にとって、分散投資する価値が高いと思います。
それでは、まずクイズを解いてください。
【第1問】以下【A】~【G】のうち、J-REITの投資対象に入るものは、どれでしょう? 該当するものを、全て選んでください。
【A】東証に上場している不動産株
【B】オフィスビル
【C】賃貸住宅・マンション
【D】物流施設(倉庫)
【E】商業施設
【F】ホテル・リゾート施設
【G】ヘルスケア施設(有料老人ホーム)
【第2問】以下【H】【I】の図は、J-REIT「投資法人」の仕組みと、一般の上場企業「株式会社」の仕組みを表しています。J-REITの仕組みはどちらでしょう?
J-REITは、一般の「株式会社」とは異なる「投資法人」という形態をとっています。その違いを理解した上で投資するべきです。
【第3問】以下【J】~【M】のうち、J-REITの価格上昇につながる要因を二つ、価格下落につながる要因を二つ、選んでください。
【J】日本の長期金利(新発10年もの国債利回り)上昇
【K】日本の長期金利(新発10年もの国債利回り)低下
【L】オフィスビルや賃貸マンションなどの賃料上昇
【M】オフィスビルや賃貸マンションなどの賃料低下
【参考】不動産への小口投資を可能にしたREIT
正解を伝える前に、不動産投資信託(REIT)とは何か、基礎的なことを説明します。REITは、不動産への小口投資を可能にした「上場投資信託」です。
個人投資家が不動産に投資する場合、ワンルームマンションからアパート1棟までさまざまな投資対象がありますが、かなり大きな金額が必要です。資金規模の制約から、個人投資家が直接投資できる対象は限られます。
REITを通じて投資すれば、都心一等地の大型ビルに投資することもできます(図A)。
<図A>REITを通じて大型物件に投資
一等地の大型ビルにテナントが集中し、競争力のないビルからテナントが流出する「不動産の二極化」が顕著に見られる時代になりました。投資するならば、一等地の大型ビルに投資したいと考えます。
REITが普及するまでは、一等地の大型ビルに投資するには何百億円という規模の資金が必要でした。個人投資家が一等地の大型ビルに投資するのは困難でした。REITの普及によって、状況が変わりました。今では、小口資金でも、REITを通じて、大型ビルに投資することもできるようになりました。
第1問正解
REITに組み入れることができないのは、【A】の不動産株だけです。
【B】【C】【D】【E】【F】【G】は全てREITに組み入れることが可能です。
【B】オフィスビル
【C】賃貸住宅・マンション
【D】物流施設(倉庫)
【E】商業施設
【F】ホテル・リゾート施設
【G】ヘルスケア施設(有料老人ホーム)
J-REITには、さまざまな種類があります。もともとは、オフィスビルや住宅・マンションに投資するファンドがほとんどでしたが、近年は、利回りが稼げるさまざまなものに投資されています。
<J-REIT代表銘柄(投資の参考銘柄):分配金利回りは6月2日時点予想>
上記に挙げたように、J-REITにはいろいろな種類があります。
【1】オフィス・リート(主にオフィスビルに投資)
【2】レジデンシャル・リート(主に住宅・マンションに投資)
【3】物流リート(主に物流施設に投資)
【4】リテール・リート(主に商業施設に投資)
【5】ホテル・リート(主にホテル・リゾート施設に投資)
ただし、一つの種類だけに投資しているREITは必ずしも多くありません。実際には一つではなく、複数の種類のアセットに投資している「総合型」REITが多くなっています。上の表の「主な投資対象」では、コア・アセットとして投資しているものだけを示しています。
J-REITに投資したいと思うものの、どの銘柄を選んでよいか分からない方は、最初は、投資信託で「東証REIT指数インデックスファンド」に投資するのも良いと思います。小口資金で、さまざまなJ-REITに分散投資できます。東証REIT市場全体の平均値に投資することになります。
第2問正解
【I】はJ-REIT「投資法人」から分配金が支払われる仕組みを説明する図です。【H】は、一般の上場企業「株式会社」から配当金が支払われる仕組みを説明しています。
J-REITの平均分配金利回り(加重平均)は、6月2日時点で5.2%です。一方、東証プライム市場の平均配当利回り(加重平均)は2.1%です。J-REITの方が、利回りがかなり高くなっています。
J-REITは、株の一種ですが、債券的価値の高い株といわれます。J-REITの利回りが高くなる理由が、上記の図から分かると思います。
一般の上場企業(株式会社)の場合、利益からまず法人税が差し引かれます。そこから内部留保などが差し引かれて、残った分が配当金として株主に支払われます。
一方、J-REIT投資法人では、利益の原則90%超が、法人税なしで、投資主(投資法人の投資家)に支払われます。法人税が差し引かれず、内部留保もほとんどないので利益の大半を投資主が受け取ることができます。
第3問正解
J-REITの価格上昇につながる変化は、
【K】日本の長期金利(新発10年もの国債利回り)低下
【L】オフィスビルや賃貸マンションなどの賃料上昇
J-REITの価格下落につながる変化は、
【J】日本の長期金利(新発10年もの国債利回り)上昇
【M】オフィスビルや賃貸マンションなどの賃料下落
賃料上昇がJ-REITの上昇要因となり、賃料下落はJ-REITの下落要因となります。長期金利変動の影響について以下に説明します。
長期金利が上昇すると、J-REITの価格には、下落圧力がかかります。二つの理由があります。
【1】J-REITには、資本金とは別に銀行からの借入金があります。長期金利が上昇すると、J-REITの支払金利が増加するので、J-REITの価格に下落圧力がかかります。
【2】J-REITの分配金利回りが長期金利(10年国債利回り)よりどれだけ高いかによって、投資家から見たJ-REITの投資魅力が決まります。長期金利が上昇すると、J-REITとの利回り差が縮小するので、J-REITの魅力が低下し、価格に下落圧力がかかります。
長期金利が低下すると、その逆です。
【1】J-REITの支払金利が減少するので、価格に上昇圧力がかかります。
【2】J-REITの分配金利回りと比較したスプレッドが拡大するので、J-REITの投資魅力が高まります。
今の日本では、「賃料や不動産価格の上昇が続いています」が、「金利上昇も続いています」。賃料上昇はJ-REITに追い風だが、金利上昇は、J-REITにネガティブです。
2025年はJ-REITの価格上昇が目立ちました。賃料上昇に焦点が当たっていました。ところが、2026年は金利上昇を嫌気して、J-REITは売られています。
ただし、J-REITの価格低下によって、平均分配金利回りが5.2%まで上昇したので、今後はJ-REIT価格は下げ止まると予想しています。賃料上昇に注目が集まれば、J-REITが上昇に転じる可能性があると考えています。
(窪田 真之)

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