JR東日本の「ALFA-X」が、360km/hでの営業運転を目指し走行試験を行っています。この半世紀で、1.5倍になった新幹線の最高速度。
1964(昭和39)年10月1日、営業最高速度210km/hで、最初の新幹線である東海道新幹線0系が走りはじめました。
それから半世紀以上を経た2020年10月、新幹線の営業最高速度は、東北新幹線における320km/hにまで進化。そして360km/hというさらなる高みを目指して同新幹線ではいま、試験車両E956形「ALFA-X」が最高で400km/hにも達する走行試験を行っています。
新幹線の高速化において、こうした試験車両は大きな役割を果たしてきました。
1992(平成4)年にJR東日本が製造した952・953形「STAR21」は、425km/hの最高速度を記録。得られたデータは、1997(平成9)年デビューのE2系などに生かされました。
同じく1992(平成4)年にJR西日本が製造した500系900番台「WIN350」は、最高速度が270km/hだった山陽新幹線での300km/h運転実現を目指し、開発されたもので、走行試験では350.4km/hを記録。これを受けて1997(平成9)年にデビューした500系が、新幹線初の300km/h運転を行っています。
1995(平成7)年にJR東海が製造した955形「300X」は、443km/hという最高速度を記録。超電導リニアモーターカーを除き、日本の鉄道でいまなお最速を誇っています。得られたデータは、1999(平成11)年デビューの700系などに生かされました。
そして2005(平成17)年、JR東日本はE954形「FASTECH(ファステック) 360 S」を製造。翌年に、そのミニ新幹線タイプであるE955形「FASTECH 360 Z」も登場させました。
最高398km/hを記録し、その成果は2011(平成23)年デビューの東北新幹線E5系「はやぶさ」、2013(平成25)年デビューの秋田新幹線E6系「こまち」に反映。新幹線初の320km/h運転を実現させています。
ただ「FASTECH 360 S/Z」はその名の通り、「360km/hで営業運転できる車両の実現」を目指していました。しかし騒音の低減などに課題があり、夢はかなっていません。
E954形「FASTECH 360 S」(恵 知仁撮影)。
そうしたなか現在、E956形「ALFA-X」は360km/hでの営業運転を目指し、走行試験を重ねています。
いよいよ始まった、2030年度が目指されている北海道新幹線札幌延伸へのカウントダウン。E956形「ALFA-X」の挑戦が、大いに期待されるところです。
ちなみに、今年2020(令和2)年7月1日にデビューしたJR東海のN700Sは、その確認試験車(量産前に確認や試験などのため製造した車両)が、東海道新幹線の米原~京都間で363km/hを記録しています。