JR東日本から「ホームライナー」が姿を消しました。国鉄時代から走っている「ホームライナー」という列車、現在では時代遅れなのかもしれません。
通勤客などへ着席サービスを提供するため、国鉄時代から運行されているJRの列車「ホームライナー」。そのひとつであり、東京都心と東海道本線神奈川県方面を結ぶ「湘南ライナー」が、2021年3月13日(土)のダイヤ改正で運行を終了しました(この記事では「おはようライナー新宿」「ホームライナー小田原」も含めて「湘南ライナー」とします)。
JR東日本はこのダイヤ改正で、その「湘南ライナー」など、「ホームライナー」に分類される列車の運行を終了。「ホームライナー」は、JR北海道とJR東海のみでの運転になっています(「ホームライナー」は過去にJR東日本、JR西日本、JR九州で運転実績あり)。
とはいえ着席通勤のニーズが減ったわけではなく、「ホームライナー」から「特急」に格上げされる例が多く見られます。今回の「湘南ライナー」も、特急「湘南」に格上げされた形です。
「湘南ライナー」として走る185系電車(画像:写真AC)。
1984(昭和59)年に、郊外の車両基地へ回送する特急車両の有効活用として、上野~大宮間で始まった国鉄・JRの「ホームライナー」は、現代ではある意味、時代遅れになっていました。
「湘南ライナー」を例にすると、この列車は座席定員制の自由席で、乗車にあたって席が指定されていない「ライナー券」が必要。この列車に乗れる各駅では、利用者がライナー券を持っているかどうか、列車の乗車口で駅係員がチェックしていました。この形が、「ホームライナー」の一般的な乗車システムです(これ以外の形もあり)。
対し、いま「きっぷの確認(検札)」は省力化が進行。新幹線や特急列車の指定席では、車掌が各席の販売記録をチェックし、販売されていない席に人が座っている場合だけ、きっぷを確認する形に進化しました。
新しく生まれた特急「湘南」は全車指定席。満席でも全員が適切な特急券を持っていれば、きっぷの確認をする必要がありません。
人口減少と働き方改革の時代、そしてITの進化した時代、きっぷの確認に多くの要員がいる「湘南ライナー」のような旧来の「ホームライナー」システムは、時代遅れともいえるでしょう。また鉄道会社にとって、要員を減らせるのはコスト削減などを考えると大きいものがあります。
ただ特急「湘南」は、乗車に必要な料金で見ると、「湘南ライナー」に比べ140円から400円の値上げになります(チケットレスサービス利用時。ただ9月30日まではキャンペーン期間中で、「湘南ライナー」より60円安い場合がある)。

右側が特急「湘南」に使用されるE257系2000番台(2020年3月、伊藤真悟撮影)。
全車指定席の特急「湘南」になったことで挙げられる利用者のメリットは、次のようなところでしょうか。
・スマホなどから簡単にきっぷを買えるようになった。
・ライナー券を求めて駅で並ぶ必要がなくなった。
・いい席を取るため駅で早く並ぶ必要がなくなった。
・車内で空席を探す必要がなくなった。
また車両が変更され、すべてリクライニングシートになり、窓側席ではコンセントも使えるようになりました。
旧来の「湘南ライナー」に変わり、この3月13日(土)に走り出したばかりの特急「湘南」。これらメリットと実質値上げは今後、乗客からどう見られることになるのでしょうか。