スターフライヤーで使用されていたエアバスA320型機「JA08MC」が、退役にともなうフェリーフライトのため、日本を離れました。北九州を離れた同機の経由地はなんと「女満別→アンカレッジ」。

なぜ北海道、それも女満別なのでしょうか。理由を聞きました。

航続距離の理由から北海道経由に…

 北九州を拠点とする航空会社、スターフライヤーで使用されていたエアバスA320型機「JA08MC」が、2021年7月27日(火)、同社退役にともなうフェリーフライト(回航)のため、北九州空港を出発しました。最終目的地は米アリゾナ州のツーソン国際空港です。

 ただ、そこに至るまでの経由地に、普通の退役フェリーではあまりにも馴染みのない場所が設定されています。

スターフライヤー機 まさかの「女満別経由」で米国へ退役フェリ...の画像はこちら >>

スターフライヤーから退役したエアバスA320「JA08MC」(画像:スターフライヤー)。

 通常、国内からアメリカへ向かう退役フェリーでは、日本の出発空港からそのまま国外に出て、アラスカ州アンカレッジなどに寄港、手続きを実施したのち、そこから最終目的地へと向かうのが大多数です。

 対し、JA08MCは、北九州空港からまず北海道の女満別空港を経由したのち、さらにアンカレッジを経て、ツーソンまで向かったのです。ちなみに、JA08MCが女満別空港に降り立ったのは、今回が初めてとのことです。

 スターフライヤーの広報担当者によると、北海道を経由したのは「機体の航続距離がおもな理由です」とのこと。同社公式ホームページによるとA320型機の航続距離は5500kmとしており、カタログスペック上では北九州空港~アンカレッジ空港間の直線距離、6180kmには届きません。ただ北海道には、設備や滑走路の整った新千歳空港があります。

あえて女満別としたのはどういった理由からだったのでしょうか。

新千歳じゃなくて「女満別」なぜ?

 スターフライヤーは、経由地を女満別空港として選定した理由を次のように説明します。

「これは立地が関係しています。新千歳空港からですと、風の影響などで航続距離上の問題が発生する可能性もゼロではありません。女満別空港を経由地に選んだのは、より安全を期すため、アンカレッジにできるだけ近い場所から……ということが理由です」(スターフライヤー広報担当者)

 ちなみにアンカレッジ空港から新千歳空港までの直線距離は約4830km、一方で、女満別空港までの直線距離は約4600kmとなっています。

 ちなみに、このJA08MC、スターフライヤー初の自社購入機として導入された記念すべき機体です。

同社での定期便投入初便は2012年12月22日の北九州発、釜山(韓国)行きの301便で、最終運航は2021年4月19日の羽田発北九州行き87便でした。この機の総飛行時間は約2万1500時間、総飛行回数は1万7426回とのことです。

 なお、今回のフェリーフライトで、JA08MCには北九州から女満別空港まで「3908便」という便名が付与されました。これは「サンキュー08」とかけたものだそうです。今後同機は「海外で活躍予定」としています。