日常で使われるバイクと比べ、想像を絶するパワーを持つ巨大バイクが、世界には数々存在します。その中でも特に桁違いなのが、アメリカのメーカー「ボスホス」の製造するバイクです。

世界に大きなバイクはたくさんあるが…

「デカいバイクに乗りたい!」というのはバイク乗りのロマンの一つかもしれません。日本の大型バイクといえば、ホンダの「GL1800」1800cc、生産終了したヤマハの2代目「VMAX」1700ccなどありますが、世界にはさらに大きな排気量のバイクがゴロゴロあります。

 量産バイクとしてはトライアンフ「ロケット3R」シリーズが、並列3気筒エンジンで2294ccという世界最大級の排気量を誇っています。さらに2021年に新登場した「ロケット3Rブラック」の排気量は、なんと2458cc。停止状態からわずか2.73秒で時速60マイル(約96.6km/h)に到達するバケモノのようなパワーです。

 しかしこれで驚いてはいけません。中小メーカーに目を向けると、アメリカにはさらに大排気量のバイクが生産されています。そのひとつが「ボスホス」というメーカーです。

モンスタークルーザーバイク専門メーカー「ボスホス」とは?

 アメリカのテネシー州に本社を置く「ボスホスモーターサイクル」は1990(平成2)年に設立。約30年の歴史で製造されたラインナップを見てみると、排気量は5700cc、6200cc、挙句の果てには8200ccというとんでもないものまで。排気量8000ccは4tトラックのエンジンに相当するといい、まさにアメリカといったスケールです。

排気量8200ccも!? 横綱級バイク「ボスホス」が生まれた...の画像はこちら >>

シボレーの自動車用エンジンを搭載したボスホスのバイク(画像:ボスホス)。

 バイクとしては桁違いの排気量ですが、それもそのはず、エンジンは四輪用のシボレー製エンジンです。5700ccモデルは「V8オートマチック2スピード」の名前から分かるとおりV8エンジン搭載で、最高出力355馬力、重量は約500キロとまさにモンスター級です。8200ccモデル「ビッグブロック」に至っては、その重量は約600キロ。単車ながらスズキ「アルト」1台に匹敵します。

唯一無二の巨大バイクが生まれたワケ

 ボスホスがこのようなトンデモバイクばかりを作っている原動力は、ひとえに創立者の熱い情熱と言えるでしょう。

排気量8200ccも!? 横綱級バイク「ボスホス」が生まれたアメリカンな理由 ホントの横綱も愛用

ボスホスが製造するトライク(画像:ボスホス)。

 ボスホスの創立者モンテ・ウォーンは民間の航空会社の元パイロット。飛行機のスピードに魅了されるうちに、「地上でも速さを追い求めたい!」と思うように。究極の速さを追求した結果、「バイクに自動車のエンジンを搭載する」という、スケールの大きすぎる結論に至ったのです。

 大規模な生産ラインを持たないとはいえ、創立から30年が経過し、2006(平成18)年時点で販売台数は4000台を超えています。日本で遭遇する機会はなかなかありませんが、栃木県足利市にある日本法人「ボスホスジャパン」が新車や中古車の販売を行っています。また、SNS上ではオーナー達によるコミュニティもあり、交流が盛んです。

 その中でも、意外な方がボスホスオーナーとして話題になったことがあります。それが、元横綱の曙さん。現役時の公称体重が233キログラムという巨体で、幕内優勝11回を誇る横綱の相棒として、ボスホスの超級バイクは確かに見劣りしない存在感といえるかもしれません。

 ちなみに、ボスホスは二輪バイクだけでなく三輪バイク(トライク)の製造も行っています。もちろんそのサイズも桁違いで、排気量6200ccのV8エンジンを搭載し、自動車並にゴツいタイヤで走ります。いやはや恐れ入りました。

※誤字を修正しました(10月6日16時20分)。

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