来春に開業予定の上野東京ラインにおいて常磐線がどういう扱いになるのか、様々な憶測を呼んでいます。そこには常磐線の他路線とは違う、独特な事情がありました。
上野~東京間を結び、上野以北と東京以南の駅間で直通運転を可能にするJR東日本の「上野東京ライン」。2008年4月に着工され、東日本大震災での工期延長もありましたがいよいよ来年、2015年3月に開業する予定です。現在その区間では毎日のように、乗務員の訓練などを目的とした試運転列車が走っています。
ただそのダイヤについて、現時点では具体的に発表されていません。そのため上野東京ラインの開業で特に常磐線の「中距離電車(青帯の電車)」「快速電車(緑帯の電車)」がどうなるか、鉄道ファンのなかで憶測が広がっています。
上野東京ラインに直接関係する路線は、以下の4路線があります。
・東京駅から横浜駅方面へ向かう東海道本線
・上野駅から大宮・宇都宮駅方面へ向かう宇都宮線
・上野駅から大宮・高崎駅方面へ向かう高崎線
・上野駅から取手・水戸駅方面へ向かう常磐線
にもかかわらず、なぜ常磐線が注目されているのでしょうか。
その大きな理由として、この4路線のなかで常磐線だけ特異なことが挙げられます。それ以外の3路線は車両が基本的に同じで共通的に使用でき、すでに新宿駅経由の湘南新宿ラインで「宇都宮・高崎~東海道・横須賀」の直通運転を実施しています。グリーン車2両を備えた10両が基本編成で、それに付属編成の5両が連結され最大15両というのも同じです。
そのため上野東京ラインが開通した際に宇都宮・高崎線と東海道本線が、すでに行われている湘南新宿ラインのように直通運転する姿は想像に難くありません。しかし常磐線は、状況が色々と違うのです。
まず常磐線は車両が違います。取手駅(茨城県)よりも北へ行く青い帯の「中距離電車」はE531系という車両で、直流の電気でも交流の電気でも走れるという特徴があります。常磐線の取手~藤代間に架線の電気が直流と交流とで切り替わる場所があり、両方の電気で走れる車両でないと取手駅よりも北、土浦駅や水戸駅方面へ行くことができないからです。
このE531系は直流を使う東海道本線を走れるほか、編成もグリーン車2両を含む10両が基本で、付属編成が5両の最大15両と東海道本線と同じなので、直通運転自体は難しくありません。ただそれ以外の点で、大きな問題があるのです。
例えばA駅~B駅間の所要時間が片道5分、折り返し発車するまでに必要な時間が5分とすると、1本の編成でA駅~B駅間を1時間あたり3往復できます。しかしA駅~B駅間の所要時間が片道25分、折り返し時間が5分だとすると、1時間で1往復しかできません。1時間に3往復走らせたければ、編成数が3本必要です。つまり運転区間を長くしつつ列車運行間隔を維持する場合、より多くの編成が必要になります。
この点について、宇都宮・高崎線と東海道本線の車両は基本的に同一であるため、直通運転で運転区間が長くなったとしても宇都宮・高崎線の車両が東海道本線を、その代わりに東海道本線の車両が宇都宮・高崎線を走ることになるだけなので、問題ありません。むしろ折り返しに必要な時間が削れるため、効率がアップします。
しかし常磐線の場合は、状況が異なります。
そのため上野東京ラインが開業しても、常磐線と東海道本線の直通運転は宇都宮・高崎線と比べ容易ではないことから果たしてどうなるのか、様々な憶測を呼んでいるというわけです。
ちなみに常磐線が直流と交流、ふたつの電気を使っている理由は、同線沿線の茨城県石岡市柿岡に気象庁地磁気観測所があるため。直流の電気ではその観測に影響を与えてしまうことから、常磐線の取手~藤代間以北では交流の電気を使っているのです。
車両が同じなのに困難な理由常磐線の上野駅にはもうひとつ、緑の帯を巻いた「快速電車」もやって来ます。この車両はデザインこそ違いますが東海道本線を走るのと同じE231系であるため、直通運転自体は難しくありません。また常磐線の「快速電車」は上野~取手間の運転なので、直流・交流両対応は不要です。つまり東海道本線の車両と共通的に使うことができるため、遠くまで多くの列車が直通運転をすることになっても、編成数の心配はいりません。
しかしそれとは別に、大きな問題が存在しています。東海道本線の普通列車はすべてグリーン車が連結されていますが、常磐線「快速電車」にはグリーン車がないのです。そのため直通した場合、グリーン車のある列車とない列車が入り乱れ使いづらい、混乱するなどの問題が発生してしまうのです。
そのためやはり、上野東京ラインの開業にあたって常磐線は様々な憶測を呼んでいるというわけです。
常磐線の列車が上野東京ラインを走ることはすでに公表されていますが、それが何の列車であるのかは現在のところ、不明です。あくまで可能性の話ですが、常磐線の特急列車「スーパーひたち」「フレッシュひたち」だけが直通するのかもしれません。すでにその特急車両の試運転が上野東京ラインで行われています。しかし常磐線「中距離電車」「快速電車」の車両はまだ、上野東京ラインに姿を現していません。
ただ2014年9月に常磐線のE531系電車が1編成、4年ぶりに新しく製造されています。編成の数が増やされたのです。果たして何を意味しているのでしょうか。
様々なことが考えられますが、品川駅折り返しなら編成の数についてもグリーン車の件についても問題ないのでは、という見方がひとつあるようです。品川駅はホームに余裕があり、上野駅方面から来た列車がそこで折り返すことは難しくありません。
常磐線沿線の自治体では鉄道の利便性向上に伴う地域発展などを想定し、JR東日本に対して常磐線の東京駅乗り入れがより便利なものになるよう求める動きがあります。2014年1月には橋本茨城県知事が「JRはまずは特急という考えがあるだろうが、それだけではなく我々としては通勤電車も入れてほしい」といった主旨の発言をしています。
JRでは毎年3月に行われるダイヤ改正について、前年12月20日頃に詳細を発表するのが近年の流れになっています。2015年3月に新しく誕生する上野東京ライン、常磐線の行方に要注目です。

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