ルーフトップに山盛りのカメラやセンサー、アンテナ類

 静岡県の東富士演習場で2026年6月7日に実施された富士総合火力演習(総火演)の舞台裏で、1台の怪しい車が目撃されました。

総火演の会場脇に“不審な車”!? ナンバーも所属表記も一切無...の画像はこちら >>

 それは、三菱自動車が製造する「デリカD:5」です。

このモデルは、世界で唯一となる「オールラウンダーミニバン」を基本理念に開発されている自動車です。

 現行のデリカD:5は、同社の「アウトランダー」などとプラットフォームを共有し、電子制御4WDを採用しています。かつての「パジェロ」ベースだった旧型デリカ(スペースギア等)の強固なラダーフレーム構造とは異なるため、純粋な悪路走破性は幾分か低下しているとの声もあります。

 しかしながら、一般的なミニバンと比較すれば、悪路走破性が段違いに優れていることは事実です。そのため、アジア・クロスカントリーラリーなどでは公式サポートカーとしても活躍しています。

 そんなデリカD:5が、全面マットブラックに塗装されて総火演の会場裏に登場しました。最後部のサイドガラスは車内が完全に見えないようにカバーされ、ルーフラックにはカメラのような装置と拡声器、そしてアンテナやセンサー類が取り付けられています。また、助手席にはなにやら大きなモニターなども装着されている様子が見て取れます。いかにも不審な外見ですが、このデリカD:5の正体は何なのでしょうか。

ナンバープレート無し、運転手は「迷彩服」

 このデリカD:5は、2023年11月に公表された三菱重工の「防衛事業説明会」資料に記載されていた「陸上無人機」のテストベッド(試験車両)ではないかと推測されます。

総火演の会場脇に“不審な車”!? ナンバーも所属表記も一切無し「黒一色の三菱デリカ」実は自衛隊の“未来の装備”か?
三菱重工の防衛事業説明会資料に記載された「陸上無人機」(画像:三菱重工)

 同資料には、社内技術の取り組み紹介として「陸上偵察技術」と「不整地での障害物回避技術」という項目の横に、マットブラックに塗装されたデリカD:5の写真が掲載されていました。その写真と今回目撃された車体は細部に差異があるものの、同一コンセプトの開発で使用されている車両であることは間違いなさそうです。

 その一方で、車両後部をよく見てみるとマフラーカッターやヒッチメンバーが取り付けられていたり、さらにはフェンダーガードやオーバーフェンダーなど、「開発実験に本当に必要なのか?」と首を傾げたくなるようなカスタム装備も確認できます。

 この日、車両を運転していたのは迷彩服を着用した人物であったため、おそらく陸上自衛隊の隊員であると考えられます。三菱重工の技術者が自衛隊の迷彩服を着用して運転することは通常考えられないからです。

 そして、さらに謎を深めているのが、車両の前後にナンバープレートが一切取り付けられていないことです。

 公道走行を想定した通常の試験車両であれば、民間ナンバー、あるいは自衛隊専用の6桁のナンバープレートを装着しているはずですが、この車両には何も付いていません。目撃された道路は静岡県道157号線の一部であるものの、事実上の演習場敷地内として扱われており、道路交通法が適用除外となっている区間なのでしょう。

 いずれにせよ、謎が謎を呼ぶこのマットブラックのデリカD:5。このまま無人偵察車両のベースとして正式採用されるのか、はたまたデータ収集のための試験車両だけで終わるのか、今後の動向から目が離せません。

【陸上無人機!?】謎のデリカD:5はこちら!(写真)

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