2024年の冬季分から利用ルールが大きく変化し、大きな話題を集めた「青春18きっぷ」。東京~京都間を「青春18きっぷ」で移動してみると、以前よりも車両が大きく変わっていました。
普通列車を乗り継いでいけば長距離を格安で移動することができる「青春18きっぷ」。2024年の冬季分から利用ルールが大きく変化し、大きな話題を集めました。実はそれだけでなく、最も利用が多いであろう東海道本線を経由する関東-関西間では“車両”も変化しています。2025年の年始、東京~京都間を「青春18きっぷ」で移動してみました。
JR東日本のE231系車両(画像:写真AC)。
「青春18きっぷ」は、JR全線の普通・快速列車の普通車自由席、BRT(バス高速輸送システム)、JR西日本宮島フェリーが乗り放題となるきっぷです。長距離移動ができるほか、気になった駅で気軽に途中下車できることなどから、未だに根強い人気があります。学生の長期休みにあわせて毎年、春・夏・冬に発売されており、名前も「青春18」となっているものの、年齢に関係なく誰でも購入・利用することができます。
2024年の冬季分から従来の5日間用(1万2050円)に加え、3日間用(1万円)が登場。購入時に利用開始日を決め、その日から「連続で」使う形となり、1回ずつ日程を分けて使うことはできなくなりました。きっぷの幅は従来の120mmから、リニューアル後は85mmに短くなり、自動改札機を通れるようになったものの、複数人での同時利用が不可能になる変化も生じています。
今回、まず乗車したのは東京駅を5時20分に発車する沼津行きの初電。
E231系は製造時期によって座席の柔らかさに違いがあり、初期に製造された車両の座席はかなり固めです。快適さを求めるのであれば、普通列車グリーン券を購入し、4号車と5号車のグリーン車に乗車するのが良いでしょう。「普通列車」のグリーン車ですが、設備は特急車両と同等です。
東京駅発車時点では、車窓は真っ暗。ただ小田原駅を出た頃には夜も明けて、海沿いに差し掛かります。絶景駅として知られる根府川駅付近で、朝日に輝く太平洋を望むことができました。
熱海駅からはJR東海エリアとなり、浜松行き普通列車に乗り換えます。この列車はロングシート(通路を向いた長い座席)の315系4両編成に、転換クロスシート(背もたれを動かして進行方向に切り替えることができる座席)の313系2両編成を連結した6両編成でした。最新の315系も快適ですが、進行方向を向いて車窓が楽しめる転換クロスシートの313系に乗車しました。
浜松駅で乗り換えた豊橋行き普通列車も、転換クロスシートの313系でした。これまで東海道本線の静岡区間(熱海~豊橋)は大部分の列車がロングシートだったものの、近年は名古屋地区から転換クロスシートの車両が転入し、乗車時間がとりわけ長い静岡区間が大きく変化しています。
今回は乗車できませんでしたが、運がよければ、かつて名古屋~中津川間で運行されていた有料快速列車「セントラルライナー」用の特別仕様車313系電車8000番台がやってくることもあります。
豊橋駅からは東海道本線の「新快速」に乗り、一気に大垣駅まで進みます。乗車したのは313系の中でも特にグレードが高い5000番台で、揺れを軽減する「車体間ダンパ」や「セミアクティブダンパ」まで備えており、近郊形車両としては破格の設備を備えています。また、全ての座席を進行方向に転換させることが可能。「青春18きっぷ」で乗車可能な近郊形車両では、最高クラスの車両です。
大垣から先、米原までは、東海道本線の中でも特に本数が少なくなります。日中は毎時2本程度となっているため、お盆や年末年始などは「青春18きっぷ」利用者で混雑することもある要注意区間です。
車両は転換クロスシートの311系でした。この車両は在来線の近郊形車両では初めて最高速度120km/hを実現した意欲作で、現在は引退が進み、残り少なくなっています。古戦場で名高い関ケ原を脇目に、JR西日本との境界駅である米原駅まで向かいます。
終点の米原駅でラストランナーの網干行き快速に乗り換え、京都駅には14時37分に到着。車両は京阪神エリアの主力を担う223系でした。後継の225系の方が車内の静かさは上ですが、窓割は223系の方が良く、車窓を楽しむという観点では223系もおすすめです。ちなみに、223系はJR西日本の近郊形では初めて最高速度130km/hを実現した車両でもあります。
東京~京都間は新幹線では約2時間10分ですが、「青春18きっぷ」では約9時間20分を要しました。ただ在来線を乗り継いでいけば、JR東日本、JR東海、JR西日本の代表形式を乗り比べることができ、新幹線とは一味違った車窓も楽しむことができます。