関東で建設中の高速道路のうち、開通見込みが具体的に立っている路線の一つが、「東関東道 水戸線」です。現在の状況はどうでしょうか。
東関東道「水戸線」の未開通部の建設が進んでいます。2024年末には、全線開通予定が「2026年度」、うち一部は前倒しで「2026年度半ば」開通という見通しが示されました。
東関東道が分岐する北関東道の茨城町JCT(乗りものニュース編集部撮影)。
「水戸線」は、東関東道の潮来IC(茨城県潮来市)から、水戸市近郊の北関東道(茨城町JCT)までの区間で、うち水戸側の茨城町JCT-鉾田IC間は開通済です。国道51号が通る鹿島灘沿いではなく、北浦と霞ケ浦のあいだを北上する内陸ルートをとることが特徴で、茨城空港のアクセスも考慮されています。
全線開通すれば、東京方面から千葉回りで水戸近郊に至るという「常磐道の迂回路」にもなります。
そのなかで「2026年度半ば」に先行開通する見込みなのは、やはり水戸側、鉾田ICから北浦ICまでの7.9kmです。
2025年3月に鉾田ICから南下してみると、実際、構造物はかなりできており、終点となる北浦ICはランプ工事の真っ最中でした。
ここまで開通すると、東関東道が茨城の東西幹線である国道354号に接続します。北浦を鹿行(ろっこう)大橋で、霞ケ浦を霞ケ浦大橋で渡る国道です。海沿いはもちろん土浦市街、さらに常磐道(土浦北IC)へのアクセスが容易になります。
霞ケ浦の西側と東側に水戸方面へ通じる高速道路ができるので、周辺を周遊しやすくなりますし、沿線のかすみがうら市などにとっては東関東道が、渋滞する土浦市街や国道6号沿いを避ける選択にもなるかもしれません。
これから「掘りまくる!?」 潮来まで一方、北浦IC以南は、以北と比べると工事が一段遅れている印象の箇所が目に付きました。
この区間は掘割構造が主体で、既存道路が上をまたぐ箇所が多いですが、その交差部では、これから掘割の掘削が本格化するところもあります。
現在、千葉方面からの終点となっている潮来IC付近は海抜が低く、盛土構造を基本に、道路交差部を橋梁でつないでいくような構造となります。開通済みの本線から全ての盛土が1本につながるまでには、もう少し時間がかかりそうです。
2026年度は千葉・茨城で「開通祭り!」関東で建設が進んでいる新たな高速道路のうち、開通の見込みが立っているのは「圏央道」千葉の未開通部(大栄JCT-松尾横芝IC)、そしてここ「東関東道 水戸線」潮来IC-鉾田IC間の2つです。ともに2026年度の全通が予定されています。

鉾田ICの手前から分岐する東関東道の建設中区間(乗りものニュース編集部撮影)。
なお、圏央道のうち、成田空港の新たなアクセス路にもなる大栄JCT-多古IC間9kmは「1年程度前倒しでの開通を目指す」とされており、東関東道の鉾田IC-北浦IC間(2026年度半ば)より半年ほど先行する可能性があります。
いずれにせよ、同年度内には水戸近郊から成田空港への「新ルート」が拓ける見込みです。
「成田、近っ!」潮来ICから千葉方面への東関東道は、大栄JCTまでのあいだも末端部ながら4車線が確保されており、混雑することはほぼありません(潮来IC以北は暫定2車線で整備)。
もし、未開通部が全線開通すると、水戸から「成田空港がすごく近くなる」と直感しました。
たとえば、宇都宮から成田空港(大栄JCT)までは、北関東道(宇都宮上三川IC)-東関東道経由で約127kmとなります。
実は、東北道(鹿沼IC)-圏央道(大栄JCT)の既存ルートと比べると、おおよそ33kmほど短縮されます。既存ルートは栃木市を通ってやや迂回する線形や、圏央道の東北道-常磐道区間の距離が長いことがネックになっています。
そうなると、北関東道→東関東道という「茨城空港へ行くルート」の先に、成田空港が視野に入ってきます。北関東3県を東西に結ぶ北関東道の開通は、北関東の都市から茨城空港のアクセス性を飛躍的に向上させましたが、これとつながる東関東道の水戸線は、北関東道を「圏央道のさらに外側の環状道路」へと変える役割があるといえます。
ちなみに、東関東道に対する「西関東道」となるのが、関越道の花園IC(埼玉県深谷市)と山梨県甲府を結ぶべく整備中の国道140号「西関東連絡道路」です。これも北関東道と組み合わさることで、「圏央道の外側の環状道路」を形成するものといえます。