大阪・関西万博で異色のロボットが出展。ロボット掃除機よりもちょっと大きいくらいのロボットが、壁面にくっついて自由自在に動く様子が披露されました。
大阪・関西万博の「ロボット&モビリティーステーション」では、その名の通り新モビリティのほか、たとえばファミレスでよく見る配膳ロボットなど様々なロボットが展示されています。期間限定の出展も多く時期により内容が入れ替わりますが、2025年7月29日、ちょっと異色のロボットがデモを行っていました。
キーテックが出展した「SPIRADER」(乗りものニュース編集部撮影)。
出展者は「キーテック」。同社は“非破壊検査技術”で知られる会社です。道路会社の維持管理技術の学生向けイベントなどで、ハンディサイズの車輪がついた検査機を転がしてコンクリート内の損傷を調べるデモンストレーションが行われることがあるのですが、そうした同社の機器は道路会社、鉄道会社などで広く採用されています。
その技術を使って、さらに遠隔走行・自律走行を可能にしたのが、今回同社が出展した「SPIRADER」です。しかも、壁を上ったり、天井にくっついて逆さに走行することもできます。同社とJR東日本、オンガエンジニアリングの3社が共同開発したものです。
屋外の壁面で行われたデモンストレーションでは、大きな吸引音を立てながら、壁を上る様子が披露されました。「この音、何かを思い出しませんか? そう、掃除機ですね」との説明。
なぜ壁にくっついていられるかというと、「お腹から空気を吸い込んで真空状態を作っているから」だそう。このように真空状態で壁にくっつくモノは数あれど、それらはたいてい、動くことはできません。「普通の製品はゴムを使って壁にピタッとくっついていますが、これはゴムじゃないんです」と岩田社長。ここが特許の技術だそうです。
壁と機器の間にあるのは、ゴムではなく“ブラシ”だそう。この機器は、“真空でくっついていながら動ける状態”を自分で調整して動くことができるといい、1cmくらいの段差も乗り越えられるのだとか。
そしてこのSPIRADER、5月の発売以降、インフラの維持管理に携わる企業から熱い視線が注がれているようです。
これまで高い橋脚などの点検をする場合は、物々しい足場を組んだり、あるいは伸ばし棒に機器をくっ付けて行ったりと、大変な作業でした。それが「ル○バ」のノリで点検できてしまうので、「点検にかかる人件費が20分の1になります」と岩田社長は強調していました。
万博の出展もあって、世界中から引き合いがあるといいます。また日本でも、あまり進んでいない自治体管理のインフラの点検の促進が期待できるそうです。
キーテックの万博の出展は8月3日まで。ちなみに、このSPIRADERを走らせた場合、非破壊検査だけでなく、下面にブラシを使っているので結果的に「お掃除」もできてしまうそうです。
【動画で!】これが「壁を上る非破壊検査ロボット」です