不慣れな土地に潜む路上の"ワナ"

 夏休みは行動範囲を広げ、遠出のドライブにお出かけの人も多いと思います。ただ県境を越えると、その土地土地で、道路などのつくりに「あれっ?」と思う細かい違いがあることに気付く人もいるでしょう。

地元の人には慣れた構造や、あるいは路上の障害物に、クルマが衝突したり擦ったような跡が見られることもあります。

【え、みんなぶつけてる…】これが恐ろしい「路上のワナ物件」たちです(写真)

 ここでは、千葉県、東京都、埼玉県で遭遇する可能性のある、そうした“あるある物件”について紹介します。

ふ、太い…! 迷い込んだら「巨大な障害物」

 まずは千葉県です。千葉県には一般道が激しく渋滞するエリアが各所にあります。このときスマホのナビアプリを使っていると、主要道から離れて川沿いの田園地帯や果樹林などが広がる丘陵地を抜ける道を案内されることがあるでしょう。

 ただ千葉県内のこうした道路を通るとき、必ず注意しなければならないのは、ところどころに設置されている「車幅制限のゲート」です。主に見られるのは農道で、その目的は大型のトラックやダンプカーの進入や通過を防ぐことにあります。

 もちろん東京都や他県にも、そうしたゲートが設置されている道路はありますが、千葉県の場合は「ギリギリになるまでゲート設置の警告がない」「具体的な車幅制限が記されていない」「夜間には真っ暗になるような農地内に設置されている」といった傾向が強く見られます。

 とくに多いのが千葉県北部、利根川沿いの野田市、柏市、我孫子市ですが、中部の幹線道路が多く通るエリアでも見ることができます。もしナビアプリが主要道路を外れ、細い道へと案内を進めるときは、速度を抑えて走り、前方にしっかり気を配りましょう。

激突注意? 中央分離帯ブロックに衝突の跡

 一方、東京都内では、中央分離帯がある大通りの交差点で、横断歩道から見て交差点の中心側に中央分離帯のブロックが設けられていることがあります。この中央分離帯のブロックの部分にクルマが衝突する事故が発生しています。

「いきなりナニこのポール!?」「え、乗り上げた!?」 路上に...の画像はこちら >>

この交差点の中央分離帯のブロックはたびたびの衝突で破壊され、あらたに作り直されている(植村祐介撮影)

 衝突の跡が見られる箇所も複数あるほか、なかには二度三度とクルマがぶつかったためか、目立つように中央分離帯部分に三角コーンを載せたり、衝突のダメージ緩和のため緩衝用のウレタンクッションを配置したりといった工夫を行っている交差点もあります。

 ではなぜ、この中央分離帯のブロックに、クルマがぶつかるのでしょうか。その理由は、ドライバー視点で考えるとわかりやすくなります。

 右折レーンで対向車が途切れるのを待っているとき、この中央分離帯の交差点中心側部分は、ドライバーから見てクルマのAピラーの死角に入りやすい場所にあたります。不慣れなドライバーは、自分の死角に中央分離帯のブロックが隠れていることに気付かず、交差点を斜めにショートカットして、クルマをぶつけてしまうのです。

 東京都内の広い道で交差点を右折するときは「とにかく大回りする」が原則だと覚えておきましょう。

ハンドル切ったら「縁石に乗り上げがち」

 最後に、埼玉県の道路に潜むワナについてご案内しましょう。それは「予想外な場所にある、高い縁石」です。

 十分な道幅があり、交通量も多い道路で、車道と歩道を安全に区分する構造として、「歩道部分をかさ上げして車道との段差を付ける」「歩道と車道を縁石で区切る」というふたつの方法が主に見られます。埼玉県ではこの後者について、高さ25cmの縁石をまんべんなく設置していることがあるのです。

 これに乗り上げがちなところが、コンビニの敷地や、時間貸し駐車場などが道路と接する箇所です。クルマが出入りする部分の縁石の切り欠きが十分でない場合、ドライバーからはダッシュボードやボンネットの死角で縁石が見えにくく、その存在に気付かずに早めにハンドルを切ると、内輪差でクルマの内側リアタイヤが縁石をまたぐラインを通ることになります。

 このとき縁石が低ければ、リアタイヤが乗り上げるだけで済み、よほどの速度でない限りはクルマにダメージは発生しません。しかし「25cm」の縁石は、クルマのサイドシル下部を傷つけるのに十分な高さです。実際に、そうした事故の痕跡が残る縁石は、埼玉県内のいたるところで見られます。

 コンビニや時間貸し駐車場など路外の施設に出入りするときは、「そこに縁石があるかも」ということに留意し、できるだけクルマの出入口の中央を通ることをお勧めします。また、不慣れな土地を走るときは、ふだん以上に周囲の確認を心がけてください。

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